醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

夢を書き出したリストなんて全部捨ててしまったらどう?〔書評〕 トーシャ・シルバー『とんでもなく全開になれば、すべてはうまくいく』

f:id:mia-nohara:20180514175837j:plain

「引き寄せの法則」に関連する本をたくさん見かけるようになった。それで一つのジャンルがつくれてしまいそうだ。望むことを思い描けばそれが現実に引き寄せられてくる……。理想をイメージして夢を繰り返しリストに書き出す。自分の夢や目標の写真を貼った「ビジョンボード」なんていうものもある。

関連記事>>>紙に書き出して見返せば脳が願望へのGPSとなってくれる 〔書評〕『自動的に夢がかなっていく ブレイン・プログラミング』

でも、この本の著者であるトーシャ・シルバー(Tosha Silver)は、「その山積みのリストとボードを浜辺に持っていって、全部燃やしたらどう?*1 と言う。

無理やり引き寄せようとしないで全部おまかせしてしまおう

夢を書いたリストやビジョンボードは、確かに望みを現実化させるのに役に立つ。でも、自分が想像できる範囲の望みや夢は、案外ちっぽけなものだったりするのだ。それならば、すべてを宇宙(もしくは神、愛、空に鳥を浮かせる力……)にまかせてしまえばいいのではないだろうか。

トーシャは、神に関しては複数恋愛同時進行派(ポリアモリー)だと言う。キリストもブッダもロード・シヴァも、ガネーシャもカーリーも同じように愛している。そして自分を「とんでもなく全開」にして、神と呼ばれる力にすべてを委ねている。

誰かを心配してあげることは、かえって相手にとって害になる

本書は「examiner.com」という情報サイトで連載されたコラムをまとめたものだ。彼女自身や彼女を取り巻く人たちのエピソードがユーモラスに紹介されている。ちょっと皮肉っぽく、くすっと笑いたくなるオチの話もちらほら。

私が好きなのは「心配しないで、祝福を送ろう」というコラムだ。このコラムによると、誰かのことを心配するのは、相手に最悪なエネルギーを送っていることになるという。

「あなたを思っています」と記した黒い速達便に、ゴミやカビ、それにいくらか頭蓋骨が入っているのを想像してみるといい。
 それが、心配だ。
 だからそれよりは、心配が出てきたらすぐ祝福を送るようにするほうが誠実だ。*2

大切な友人が例えば大きな病気になったりしたら、心配してあたふたするのはやめようと思う。キラキラしたエネルギーを届けたいから。

*1:トーシャ・シルバー. とんでもなく全開になれば、すべてはうまくいく ― 宇宙の導きにまかせよう (ナチュラルスピリット) (Kindle の位置No.843-844). 株式会社ナチュラルスピリット. Kindle 版.

*2:同上、Kindle の位置No.1285-1287