醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕『凪のお暇』のマネをしてバラン柄のTシャツを買う

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  • 晴れるより
  • 雲雀はうたふ道の
  • なつかしや
  • 山頭火

一週間のとりかたづけをする。
のんびりと食べたり、考へたり、寝たり、歩いたり。
買物に出て、俄雨に降りこめられた、焼酎一杯の贅沢。

種田山頭火 行乞記 室積行乞


陰暦卯月六日。

suzuriで注文していたTシャツが届いた。
『凪のお暇』をマネして、バラン柄である。
とてもうれしい。

https://www.instagram.com/p/Bi-pT5PF49n/
#凪のお暇 のマネをして、suzuri で買った。

凪のお暇 2 (A.L.C. DX)

凪のお暇 2 (A.L.C. DX)

suzuri.jp


昨日はドロドロだった河が、今日はきらきらとせせらいでいる。
漂流物集積所通信の第3号を出してから、鎌人(かまんど)市場へ。

note.mu


風は冷たいけれど、陽射しは強い。
よく晴れてよかった。

チャンプルーのテント(屋根が無いけど)でポーク串と沖縄そばオリオンビールを買う。
トンビも稼ぎ時だ。警戒しつつ、芝生の上で美味しくいただく。


材木座海岸へ。
陶器製のボタンが流れ着いていた。

https://www.instagram.com/p/Bi_Jv2SFCii/
貝かと思ったら違った。陶器製。年季入ってる。誰かの第2ボタンだろうか。


金属不足だった第2次世界大戦中のものではないか、とFB友達が教えてくれる。

中原中也の「月夜の浜辺」という詩も。

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。


それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂たもとに入れた。


月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。


それを拾つて、役立てようと
僕は思つたわけでもないが
   月に向つてそれは抛はふれず
   浪に向つてそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。


月夜の晩に、拾つたボタンは
指先に沁しみ、心に沁みた。


月夜の晩に、拾つたボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?

中原中也 在りし日の歌 亡き児文也の霊に捧ぐ

結局、拾わずそのままにして立ち去る。


帰宅してごろごろしてから再び家を出る。
倭物やカヤで足袋靴下を買い込む。


ヒグラシへ。
ふと、ちょうど7年前の今日、ヒグラシに始めて来たことを思い出す。
銀髪のJさんが格好良くネッカチーフを首に巻いて窓辺に座っていた。
今は亡きSさんがいてトマ酎を奢ってくれた。
Tちゃんが「また明日も来なさいよ」と言った。

サワーやチューハイで酔ったことはなかったが、ヒグラシはキンミヤ焼酎の量が思いのほか多い。
日本酒とチューハイ3杯でべろべろになって土砂降りの雨の中を帰ったのだ。

ヒグラシでは、チェイサー替わりにチューハイを呑んではいけないと学ぶ(しかし、その後も何度となく失敗を繰り返すことになる)。

あの日も後ろのテーブルで呑んでいて、あとからTwitter越しに声を掛けてくれた二人が、今日も同じようにカウンターの隅っこで呑んでいた。


まるであの日のつづきみたいに。