〔日記〕粋の反対
- 夜風ふけて
- 笑ふ声を持つてくる
- 山頭火
飲まずにはゐられない酒はしば/\飲んではならない酒であり、飲みたくない酒でもある、飲まなければならない酒はよくない酒である。
種田山頭火 行乞記 大田
飲みたい酒、それはわるくない。
味ふ酒、よいかな、よいかな。
陰暦水無月九日、晴れ。
必死に頑張るのを辞めたら、自分が稼がなくても生きていけるようになった。
高等遊民を気取っているのかと言われたこともあったけれど、あれは妬みだったんだろうか。
高等遊民には憧れていた。
『それから』の代助みたいな暮らし。
ああ、親の財産を食いつぶす放蕩息子でもいい。
遊んでばかりの若旦那。
「お金がない」という不安は、自分が持っている金額には関係がないようだ。
何億円も持っていたって「なくなってしまうかもしれない」と思えば不安だし、無一文だったって「充分豊かだ」と思えば豊かなのだ。
今日は喪服を着るので日傘を差して行く。
竹扇でお昼。
日替わりセットがまだ残っていた。
贅沢にも鰻丼だった。胡麻だれせいろ蕎麦とともにいただく。
ジロウは山かけ蕎麦。
混んでいて、早く久里浜へ向かいたいジロウはイライラとしている。
電車の向かいの席には、小学生の女の子とそのお母さん。
「そういうこと訊くのは野暮なのよ」
とお母さんが言う。
「やぼってなーに?」
「粋の反対」
「ええー、それは『かえり』でしょー?」
「そういう小学生の理論で答えないの」
実家について喪服に着替える。
子どもたちと合流して、斎場に向かう。
祭壇と供花の確認。ラストメイクと納棺。
義母さんの好きだったCDを流してもらう。
セリーヌ・ディオンと昭和歌謡、テレサ・テン。
御通夜。
パンプスを久しぶりに履いたもんだから、お辞儀するたびによろけそうになる。
終わった後、実家でちょっとだけ飲み会。
ジロウを一人残して鎌倉へ帰る。
帰宅して日本酒(あさ開)、スルメ。
『阿・吽』を最初から読み返す。
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