〔日記〕どちらも同じ幻
秋、秋、秋寒く秋暑し、夜は秋にして昼は夏なり。
種田山頭火 行乞記 仙崎
気分すぐれず、身心の倦怠いかんともしがたし、行乞もやめて終日独居、ぼんやりして一句もなし。
明日の糧は明日に任さう。
文月十四日、台風のち晴れ。
サスペンス的な夢を見る。
須賀川のいつも泊まるホテルで、昔の恋人がクリスマスイブに死んでいる。
事故か自殺の線で処理された。
数ヶ月後、彼を偲んでその部屋に泊まった私は、ベッドの下から犯行に使われたナイフ(綺麗に血液は拭われていて、ジップロックに入れられていた)と、彼が最後に遺した血痕を見つけてしまうのだ。
うわあ、そうじゃないかと思ってたけど、やっぱり殺人だった。
このままでは知ってしまった私も殺されてしまう。
そんなときはどこに連絡すればいいのだっけ、えーと、えーと。
「殺されたんです! そうです、クリスマスイブ、この部屋に泊まっていた人です!」
それにしても、殺人なんていうことが身近に起こったりもするもんなんだなぁ、と、焦りつつも感慨にふけっている。
犯人と覚しき人間はその後も幾人か人間を殺し(放火された枯れススキの野原でもだえ苦しむ友人の姿を見た)、それでも捜査の目はぬるぬるとかわしていく。
犯人(のっぺりとした感じ、たぶん男だと思われる)がたどり着いたのは松の茂る海に近い村で、そこの老夫婦のもとに逃げ込もうとする。
実は、いかにも温厚そうな老夫婦こそが、さらなる悪事を積み重ね、多くの人間を殺めてきた真の悪党だったのだ。
「ほんとうに悪い人間ってなぁ、○○ってもんじゃありませんぜえ」
老人は、開いているのだか開いていないのだかわからないくらい細い目のまま、微笑みを浮かべているのだか無表情なのだかよくわからない中途半端な顔をして、逃げてきた犯人にそう言うのだ(○○の部分は忘れてしまった。決定的な決めゼリフだった)。
老人の元で暮らしている若い娘が浴衣姿で現れる。
つげ義春の漫画に出てきそうな娘さんだ。
この物語の大団円が近いことを、私は夢の中で知っている。
なにしろ、眠くて眠くて仕方がないのだ。
ああ、でもこれでエンディング。
最後のシーンだから、寝落ちする前に見なくては。
娘は老夫婦や犯人や村の子どもたちや私の手をとり、マイムマイムでも踊り出すように歌い始めるのだ。
花いちもんめのような、そうではないような歌。
私は彼女と拍子を合わせて踊り出す。
ああ、眠い。眠くて仕方ない……
「大丈夫か?」
とジロウに起こされる。
「……はい?」
「なんか、唸りながら揺れてたから」
彼岸と此岸は向かい合わせだ。
こちらで眠るときに見るのが夢なのと同じように、夢の中で眠くなったときに見るのが現実なのだろう。
夢か現か。どちらも同じ幻。
さあ、外は猛烈な嵐である。
お陰で網戸がすっかりと綺麗になった。
のんびり起きて風呂に入り、ジロウに素麺を茹でてもらう。
豆乳割でいただいた。
ジロウに納豆をお裾分けしてもらう。
あっという間に晴れる。
風は強いが、道はもう乾いている。
御成スタバで頼まれていた原稿を仕上げて送る。
日記を更新する。
マイペースの一人っ子フーフである。
— 野原 海明 (@mianohara) August 24, 2018
マイペースだからこそ、人にものすごく気をつかうのだけれど、他人からは「気をつかっている」ようにはまったく見えない。
〔日記〕マイペースの一人っ子 - 醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明(@mianohara) https://t.co/bogaKWeGMd
紀ノ國屋で即席スープと海藻を買う。
小町通り入り口の花屋で赤い実のついた枝を買う。
東急で保存用瓶と焼き魚を買う。
帰宅して、焼き魚と枝豆でちびちびやる。
『麒麟の翼』を観る。
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なんか、全体的にもやもやとした。
ゲームを少しして、セスの続きを読んで寝る。