〔日記〕高速船「ひろしま世界遺産航路」で原爆ドームから厳島神社を目指す
午後、樹明来、Oさんも来庵、つゞいて敬坊来、二升ほど飲んでほろ/\とろ/\、それから出かけてぼろ/\どろ/\、わかれ/\になつて、私だけはI旅館をたゝきおこして泊つた、……今夜はまことに、のむ、うたふ、をどる、めでたし/\だつた。
種田山頭火 其中日記 (八)
2年前の4月5日は会社の合宿。働くことの不安についてがお題のカウンセリングみたいな会議。憧れた人の働き方を知りたくてメンバーの一員になった私は、その仕事を続ける意義を探していた。
— 野原 海明 🖋 (@mianohara) 2019年4月7日
〔日記〕「自分にしか関心が無い」 - 醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌 https://t.co/KFYlcxIVP0
去年の4月5日。「家賃を払えなくなったらどうしよう」という恐怖の根底を探ってみたら、自分がもっとも恐れているのは「家賃を払うために安易に仕事を始めてしまうこと」だと思い至る。
— 野原 海明 🖋 (@mianohara) 2019年4月7日
〔日記〕自分を無駄遣いするのはやめよう - 醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌 https://t.co/djMjSxS88q
弥生朔日、清明。晴れ。
鎌倉に住みたいと思ったのは、都内まで通勤できる範囲で、海があって山もある町だったからだ。通勤する必要のなくなった今、もう何処に住んでも自由なのだ、とあらためて思う。
6時4分に起きる。ホテルインターゲート広島の大浴場で、しばし昨夜のライブの疲れを癒やす。チェックアウト前に市街地を散策。流山あたりを歩いてみるものの、夜の街過ぎて朝食が食べられるような喫茶店が見つからない。
なぜか「とうかさん」(稲荷参)こと日蓮宗のお寺、 慈善院 圓隆寺に呼ばれる。稲荷大明神は法華経の守護神であるらしい。「おとうかさま、この辺でおすすめの、モーニングが食べられる喫茶店を教えてください」とお参りしてみる。
ぷらぷら歩いていたら、胡子神社にも呼ばれる。こちらでもヱビスさんに、おすすめの喫茶店を聞いてみる。
お参りを終えて振り返ったら、ありました。目の前に喫茶店「シャモニーモンブラン 本店」が。さっそくモーニングセットをいただく。
トースト、サラダ、ゆで卵、味噌汁、コーヒー。これで550円。「モーニングセットに味噌汁?」と思ったけれど、このお味噌汁がなかなか美味でした。
ホテルに戻ってチェックアウト。歩いて原爆ドームを目指す。
高速船「ひろしま世界遺産航路」の船着き場へ。原爆ドームのある平和公園から、厳島神社のある宮島まで、一直線に船で行けるのだ。電車で宮島口まで行ってフェリーに乗り換えるという一般的な経路よりは割高(大人2,000円)だけど、せっかくだから海から行ってみたいと思って。
チケットを買おうとしたら、今まさに出港する時間だった。ふさいでいた優先席を開放して、席をつくってくれる。いちばん広い席で、なんだかVIP待遇みたいでうれしい。
いくつかの釣り船? を追い越して宮島へ到着。荷物をフェリー乗り場のコインロッカーに預けて、観光案内所でマップをもらう。歩き始めたら、野生の鹿にマップを食べられそうになって、「こらこら」と頭をなでて押しとどめる。
表参道は、鎌倉の小町通りと似た感じ。お店も同じ系列店らしきものをちらほら見かける。厳島神社で、宗像三女神にご挨拶。平舞台には照明が設置されている。何かライブでもやるのだろうか? 狛犬がまるで音響スタッフさんのように立っていた。
新月の大潮で、干潮は16時頃。到着したお昼どきには、まだ大鳥居は海の中だけれど、本殿の周りの海水はすっかり引いていた。人があまり歩いてこないほうの回廊を呼ばれたように進む。大国神社と天神社でした。静かにご挨拶する。
大願寺で弁天さまにもご挨拶。本堂に隣接したお土産屋さんから、俗っぽくはあるのだけれど清涼な雰囲気を感じる。店番するおばちゃんたちが楽しく世間話していた。お守りの中から、純銀の指輪を見つける。ずっと、龍神を感じられる指輪を探していたのだ。金属アレルギーだけれど、純銀なら大丈夫。鎌倉で買ったごつい指輪は何処かに落としてしまった。ここで出逢えてよかった。
豊国神社に昇殿して、さてお昼でも、と思ったら、ジロウの機嫌が多い。お腹が空いたのと、あまりに観光じみていることに対する腹立ちから、イライラとしているらしい。「もうフェリーに乗って島を出る」と言う。いやいや、私は去年の今頃から厳島神社にご縁を感じていて、ようやくここまで来られたのだから、夕方まではじっくりいたいんですけど。もうちょっと町を散策したりお昼を食べたり、水族館へ行ったりロープウェイに乗ったりしたいんですけど、と言って押しとどめる。
不機嫌なジロウをひっぱってお好み焼き「ももちゃん」へ行く。瓶ビール、ジロウは日本酒。スペシャル焼き(牡蠣以外の具全部盛り)、焼き牡蠣。瓶ビールの銘柄を聞かれて、頼んだのは私なのにジロウが「アサヒ」と答えるので、ムッとして「は?」と言う。キリンにしてもらいました。
腹がいっぱいになって多少機嫌が直ったようなので、再び散策を開始する。以前、厳島神社の記事を書いたときに気になっていた「不明門」を探す。塀の隙間から、それらしきものがチラリと見える(不明門については、また別の記事で紹介したいと思います)。
宮島水族館「みやじマリン」を目指して散策。路地の隙間から桃林(もんばやし)の桜をみつける。ちょうど満開で、ほどよく散っている。しばしベンチに腰掛けて花見を決め込む。
みやじマリンは、瀬戸内の海を再現した水槽がユニークで面白い。牡蠣を養殖する「牡蠣イカダ」をそのまま吊した水槽もある。ネックレスのようにつなげたホタテの殻に、足の小指の爪サイズの牡蠣の赤ちゃんがくっついて、何年かかけて成長していく。その間を、イワシやアオリイカが泳いでいる。
カブトガニの本物もいた。生きているけど、あんまり動かない。蟹ではなくて、蜘蛛やサソリに近い生き物であるらしい。
閉館間際、トドのお食事タイムに遭遇。ちょっとずつ芸を披露してくれる。巨大な雄、ヨネタローのしゃちほこ立ちが素晴らしかった。
水族館を出ると17時。干潮から1時間ほど経ったけれど、まだ大鳥居まで歩いて行ける。歩いて渡れるほど潮が引くのは、満月と新月の大潮の日だけなんだそうだ。
満足してフェリー(JRのほう)に乗って宮島口を目指す。フェリーもSuicaで乗れる。展望席に座って、遠ざかる厳島神社に手を合わせる。
宮島口は呑み屋は少なそうだ。居酒屋「もみじの木」に入った。地元のお酒をいただく。やっぱりここは弥山。ジロウは賀茂鶴。刺身三点盛り(太刀魚、蛸、たぶんブリ?)、穴子白焼き、焼き牡蠣。どれも絶品でした。居酒屋だけど、観光で来て定食を食べていくお客さんも多そうだ。常連っぽいおっちゃんたちが広島弁で呑んでいた。地元にも愛されている店なのだろう。
電車に乗る前にコンビニでお酒とつまみを買う。つまみまでカープ推しだった。
山陽本線に乗って大野浦駅へ。宮浜温泉「旅館かんざき」の送迎の車で宿へ向かう。ちょっとひっかけて21時30分に寝る。