醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕プロデューサーは嘘をつくのが仕事

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寝てゐて、つく/″\思ふ、百姓といふものはよく働らくなあ、働らくことそのことが一切であるやうに働らいてゐる。

種田山頭火 行乞記 (三)

皐月廿七日、雨のち曇り。

憧れてはいるけれど、本腰を入れてやっていないことはなんだろう。

8時29分に起きる。風呂で読んだのは心屋仁之助『ゲスな女が、愛される。-あっという間に思い通りの恋愛ができる!』(だったはず)。

今日はアフリカンダンス。ジロウはまだ二日酔いというか、酔っ払っている。旅に備えて洗濯を済ませてサクッと出かける。豊龍で海老入りワンタン麺。ジロウはネギチャーシュー麺。

ちょっと遅刻して六会公民館に到着。今日はフラファレの最終日。初めての人もたくさん。小学生男子の参加者も。

気持ちよく踊り終えて、今日こそ新江ノ島水族館に行こう! と思っていたけど、最終入館時間に間に合わなさそう。諦めて大船で再び解散する。今日ももう、デスクワークする気力がないので、16時台だけどヒグラシ文庫へ。

知った顔でいっぱいだった。中原さんの家へ線香をあげに行っていた人たちのようだ。ひさしぶりの人もいる。「ジロウさんは?」と聞かれる。

「ライブに行った」
「……ミアちゃんは今日、どうしてたの」
「え? アフリカンダンス」

死んじゃったら、もう会えないし。
生前、いかに親しかったかを周りに主張しても仕方ないし。

「……おれは、線香あげに行ってよかったと思ってるよ」
「ちゃんと死んでた?」
「うん、骨壺があった」

「でもさ、誰も死んだとこも遺体も見ていないんだよね」
「そう」
「死んだ死んだ詐欺、だったりして」

ありうるねー、それで女と駆け落ちしてたりして。でも、ほんとうにそうだったらいいね、と言い合う。

「プロデューサーは嘘をつくのが仕事なんだ。そうして相手に夢を見させる。中原は偉大なペテン師だよ」と言っていたのは、こちらも鬼籍に入った櫻井さん。ほんとだ、最期まで立派なペテン師だった。

ひさしぶりの人とたくさん会って飲み過ぎる。最後は中原さんの好きだったまかないサワーで締める。よっぱらってシャッタースピードのあっていない、手ぶれだらけの写真を大量に撮って帰る。21時に寝る。