醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕富士吉田新世界乾杯通りに連れ出してもらう

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  • はだかで
  • はだかの子をだいて
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  • 山頭火

晴、いよ/\天候もきまつたらしい、私の心もしつかりしてくれ、晩年の光を出せ!

種田山頭火 行乞記 (三)

水無月十七日、雨のち曇り。

出発が早くてモーニングページを書くのは断念。

5時に起きる。睡眠効率62%。ちょっと多かったアルコールと、緊張のせいでよく眠れず。寝坊して電車に乗り遅れる夢を何度か見る。

無事、電車には乗れました。今日は富士吉田へ取材に行くのだ。新宿で富士回遊3号に乗り換える。中国人観光客ばっかりだ。隣りに座った中国人の女の子に、「席変エテモラエマスカ?」と聞かれる。後から指定席を買ったので、彼氏とバラバラの席になってしまったらしい。彼女も彼氏も通路側の席だ。

いい人ぶって変わってやろうとも一瞬思ったが、窓際の席を確保するために早めに予約をしたのだ、おれは。「うーん、ごめんなさい」お断りする。罪悪感を感じながら富士山駅を目指す。

富士山駅について、今日のお宿に荷物を置かせてもらう。「Hostel 1889」は、少し前に夢に見た、雲上のユースホステルそのものだった。正夢だったんだろうか。

駅ビルのレストランで、これから一緒に取材先をまわる皆さんとお昼。鯛茶漬け定食。一昨夜の夢で、Sさんが食べていたのとよく似ている。最近、夢と現実の境が薄い。

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取材先を車に乗せてもらってまわる。田んぼの畦道での撮影で蚊に食われまくる。油断してワンピースで着ていたのは失敗だったかも。地方の蚊の毒は強烈なのだ。

夜は、富士吉田新世界乾杯通りに連れ出してもらう。わりと新しめの洒落た看板が出ているが……

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通りに入るとディープなのだ。

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「西裏」と呼ばれるこのあたりは、機織りの町としてめちゃくちゃ儲かっていた時代の名残を引き継ぐ呑み屋街だ。

こちらは元遊郭。

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呑み屋街の中で頑張っている本屋さん。

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kanpai.info

金曜の夜でどこも満席。ぶらぶら歩いていたら、連れのライターさんが地元の酔っ払いのあんちゃんに「あんたたち日本人じゃないでしょ?」と絡まれている。

振り返って「私が金髪だからそう思ったんでしょー!」とハイテンションに答えたら、「あ、すんませんでした」と、急に小さくなってぺこぺことする。とって喰われると思って怖じ気づいたのかもしれない。心の中で(勝った……!)とつぶやきつつ、陽気に「またねー!」と手を振ってあげる。

通称「ピンク」というお店にたどりついた。4時までやっていて、飲んべえや飲食店の人たちが最終的に流れ着く店らしい。鎌倉で言えばunivibeか。

宿に戻る。屋上に上がってみると、満月からちょっと欠けた月が間近に見える富士山を照らしていて、それはそれは幻想的だった。軽くシャワーを浴び、二段ベットの上段で0時30分にばったり寝る。