醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

2006-04-24から1日間の記事一覧

桜の花の散る頃に

都会には緑がないと思っていたが、それは違うのだ。ビルとビルの合間に、密集した家々の隙間に、溢れんばかりの緑が多い茂っている。山に生まれ山に棲む人は、有り余る程の自然に馴れてしまって目を向けることが少なくなるようだが、街に棲む人はほんの少し…

春の珍客

その教室は半地下になっていて、壁自体がそのまま巨大な窓になっている。二メートルほどの高さの窓が連なる下に、五十センチほどの高さの小さな横長の窓が並んでいる。教室に一歩脚を踏み入れたら、沢庵のような匂いがした(前の授業で何が起こったのだろう?)…

こんなこと言われたら、男はひいちゃいますけどね

平安文学の授業での話。平安朝の短歌について説明したあと、先生は現代の短歌を引き合いに出した。 「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日*1 言わずと知れた、俵万智さんの短歌である。サラダ記念日 (河出文庫―BUNGEI Collection)作者: …