醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

〔小説〕 回収処

酒場で独りで呑んでいる女はみんな声を掛けられるのを待っている…わけではないから、そう無粋に口説かないでくれ。 男の目に下心の宿るときは、どういうわけかみな、寄り目がちになる。凝視して服の下まで透視しようとしているのか。何故か誰もが同じ表情を…

桃山邑 TALK EVENT -世界劇場としての、藝能・寄せ場・天皇制-

水族館劇場という名の劇団がある。おれはその劇団のことを立ち呑み屋でたまたま知った。しばらく活動を止めていたその劇団は、フクシマの後、ひっそりと、再び動き出した。何トンもの水が一斉に流れ落ちる。その派手な舞台で水族館劇場は知られている。演出…

桃山邑 TALK EVENTより、覚え書き

銀座のクオリア・ジャンクションへ、水族館劇場*1の桃山邑さんの講演を聴きに行って来た。以下、メモより。後ほど纏めますが、ひとまずは箇条書きにて。 ファシズムに傾きつつある日本 リセットできない世界 希望を萎えさせるような出来事 フクシマ これから…

〔小説〕 終電車

なんて不覚。 最終電車に乗せられてしまった。 ホームで見送る彼。ドアの傍で手を振るか、さっさと空いてる席に座ってしまうか、迷ってしまうじゃないの。 東京は詳しくないから教えてほしい、とメールした。それじゃあ、お台場でも行ってみようかと返事が来…

波照間島へ行ってきました(3/3)

9月5日 波照間最終日。 十時ぎりぎりに荷物をまとめてチェックアウト。宿に荷物を預けて、北側の集落を散歩。「コート盛り」という、かつて物見やぐらとして使われていた、石と土を持った展望台へ登る。海の向こうに西表島が霞んで見える。 「あとふそこ」…

波照間島へ行ってきました(2/3)

9月4日 宿のいかした自転車に足ヒレやゴーグルを詰め込んでニシ浜へ。宿の自転車はシティサイクル風なのに、サトウキビ収穫用のカゴが取り付けられていて超いかす。 青すぎる透明な海、白い砂、珊瑚礁、あんまり人間を怖れない熱帯の魚たち。 休憩しに浜に…

波照間島へ行ってきました(1/3)

9月2日 京急で羽田へ。午後の飛行機で那覇経由、石垣島行き。夕闇迫る新石垣空港へ着。路線バスで市街地へ。ホテル・アビンハナにチェックイン。 石垣市街地ぶらぶら。役場前の割烹「八重岳」で呑んだくれ。オリオンビール、清福三合瓶、ラフティ、刺身盛…

ラストステージ

歌うこと、について書こうとおもう。 歌は、おれの逃避であるのかもしれない。たとえば期末テスト前の一夜漬けで単語や漢字を暗記するのが厭になると、決まってそのへんのアルバムの歌詞を片っ端から覚えていった。書くものに行き詰まって酔っぱらうと、古い…