醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

2006-01-01から1年間の記事一覧

イ・ジュンイク 「王の男」

王の男 (角川文庫)作者: キムテウン,チェソクファン,前川奈緒出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/11メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (7件) を見る公式HP:王の男 FAN site - 映画「王の男」応援サイト友人に誘われ、今日公開…

コンビニの猫

夜のコンビニ。なぜかドアの真ん前、ごみポストの上に猫が座っていた。どでかい茶トラのオス。寒そうに顔をしかめて、招き猫のようにじっとしている。あんまりにも動かないので、気づかないお客さんも多い。声を掛けると困ったような顔で見上げる。触ろうと…

鼻血が出るほど、書きたいこと。 ~ よしもとばなな 「引っこしはつらいよ」

引っこしはつらいよ―yoshimotobanana.com〈7〉 (新潮文庫)作者: よしもとばなな出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/06/26メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (36件) を見るばななさんの日記には、はっとすることが多い。(時々、怒られてい…

瀬戸内寂聴 「寂聴 般若心経 生きるとは」

仏教が気になる今日この頃。「釈迦」と一緒にこの本を借りてきました。日本人であればおそらく一度は聞いたことのある般若心経。でも、そのお経にどんな意味がこめられているのかは、多くの人が知らないはず。寂聴 般若心経―生きるとは (中公文庫)作者: 瀬戸…

あなたはダリでしょう。

とみぃと上野へ。ダリ回顧展を覗く。公園口で落ち合い、ぶらぶらと歩きだすと突如として豪雨。なのにお互い気にしていないところが、なんだか可笑しい。 とみぃと会うのは何年ぶりだろう。最後に会った時はまだ十代だったか。思えば長い付き合いである。世間…

ニクタイ。

いつもの居酒屋さんへ。庶民的な私には、高い食材よりも、馴染み深いものを使ったお料理の方が嬉しい。お値段は張らないのに、なんと繊細な味付け。ついついお酒が進んでしまう。金曜日なので盛況。今日もまた不動産の社長さんに奢ってもらってしまった。………

〔おすすめ本〕女人成仏 ~ 瀬戸内寂聴 「釈迦」

仏教説話に描かれた女性観を探る、という授業をとった。扱われる資料という資料に、みな男尊女卑の考えが見られる。女は愛欲にひた走る、女は嫉妬にとらわれる。女には血のけがれがある。ゆえに女は仏にはなれない。そ、それは一体どういうこと!?というわけ…

ゆれゆれて

朝六時に起き、どうにか書評が書き終わる。一個ずつ、一個ずつこなしていこう。ストーカー娘、今日も恋人の授業前に現る(しかも、今日は若干ワインがはいっていた)。「いよいよストーカーだな」と恋人がつぶやく。恋愛の極意はバランス……たいていいつも、…

てんやわんや

次から次へと「やらなくてはならないこと」が舞い込んでくる。ぷしゅーっとあたまから煙りがでそう。でもむろん、「やらなくてはならないこと」がふえる道をえらんでいるのは自分。とめどなく過ぎていってしまう人生。「やらなくてはならないこと」よりも、…

瀬戸内寂聴 「私の好きな古典の女たち」

「万葉集」「とはずがたり」「和泉式部日記」「蜻蛉日記」「堤中納言物語」「源氏物語」。それぞれの古典文学作品に登場する魅力的な女たち。千年経っても人の物思いは変わらぬもの。より親しみを持って古典を見つめることができる一冊だ。古典に苦しむ受験…

赤瀬川源平 「トマソン大図鑑 無の巻」

文章を読まずに、ただぱらぱらとページを捲っても素人には何が面白いのかさっぱりわからない。しかしひとたびそこに書かれた説明を読めば、抱腹絶倒、もう引き返すことは不可能である。トマソン大図鑑〈無の巻〉 (ちくま文庫)作者: 赤瀬川原平出版社/メーカ…

お化粧なんて、しない。 ~ 岡本敏子 よしもとばなな 「恋愛について、話しました。」

恋愛について、話しました。作者: 岡本敏子,よしもとばなな出版社/メーカー: イーストプレス発売日: 2005/09メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブログ (63件) を見る岡本敏子さんはお化粧したりしないらしい。ここまでくると、すがすが…

年上のひと。 ~ よしもとばなな 「High and dry(はつ恋)」

High and dry (はつ恋)作者: よしもとばなな出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/07/23メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 30回この商品を含むブログ (113件) を見る年上の男のひとに憧れる時期……というのが、おんなのこにはある気がする。それはたいて…

早起きのおへそ ~ 「私のカントリー別冊 暮らしのおへそ」

行き詰ったときは、本に答えを探すことが多い。暮らしのおへそ―THE STORIES OF 13 PEOPLE AND THEIR EVERYDAY HABITS (私のカントリー別冊)出版社/メーカー: 主婦と生活社発売日: 2006/01メディア: ムック購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (18件…

やる気

どうしてこんなにやる気が出ないのだろう。ふらりふらりとかわしているうちに、レポートの締切が近づく。身体もあちこちが不調。そういう時期なのかもしれない。

ぶらりと黄昏のなかを散歩する。太鼓の音につられて境内にのぼる。秋祭りだ。地元秋祭りはこじんまりとしている。浴衣を着て踊っているのは地元の奥方。ブロンドの留学生も飛び入りしている。狂ったように踊っている日本人学生もいる。缶ビールとお好み焼き…

産婦人科

体調が悪い。どういうわけか、ここ半年くらい、月に2回生理が来る。夜型生活のツケがまわってきたのだろうか。カラダのリズムが崩れているようだ。産婦人科に足を運ぶ。クラシックのかかる待合室。圧倒的に女性が多い中、若いカップルの姿もあり、まるでド…

ラム・ソーダ

ラムのソーダ割り。私は一体何がしたいのだろうと、思う。淡い陶酔の中。

クラフト・エヴィング商會 「クラウド・コレクター <手帖版>」

すぐそこの遠い場所、「AZOTH(アゾット)」。新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)作者: クラフト・エヴィング商會出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2004/04/08メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 36回この商品を含むブログ (56件) を見る いいかい、こ…

甘いもの

甘いものは苦手なのだけれど、無性に食べたくなる日が年に二回くらいある。今日は裏通りの店でケーキを買って帰る。ひとくち、ふたくち……だんだん甘さが息苦しくなってくる。無理して食べて、ちょっと後悔する。一人暮らしの切なさは、食べ切れないものを誰…

句。読、点

一日に句読点をうつこと。ともすればたらたらと過ぎていってしまう一日に。忙しさにかまけて走り去ってしまう一日に。ふっ、と息をつく時間が欲しい。私の句読点は喫茶店だ。例えば昼休みに。何処かへ出掛けた帰りに。いたたまれない夜に。ベルを鳴らしてド…

司書の卵キャンプ@山中湖情報創造館(2/2)

山中湖から帰ってきました。東京はまだむし暑いのですね。新宿駅に降り立ったとたん、インド綿のスカーフがしっとりと湿ってしまいました。実りの多い三日間でした。「図書館はこうでなくてはならない」という、かっちり固まった概念が崩れました。山中湖情…

司書の卵キャンプ@山中湖情報創造館(1/2)

山中湖情報創造館に来ています。雨は嫌いではないけれど、せっかくの富士山が見られないのが残念。半袖では寒いほどの夜です。山中湖情報創造館は、日本で初めて、指定管理者制度を取り入れた公共図書館です。大学卒業後、司書への道を考えている私は、デー…

恋の距離

恋愛において大切なことは、距離感だと思っている。つい気を抜くと、「あなたがすべて」になってしまいそうになる。自分の人生何を差し置いても、彼の傍にいられればいいと。そしてそういう時は、たいていうまくいかない。うとましがられる。空回りする。恋…

〔おすすめ本〕江國香織 「神様のボート」

淡々とすすむ日々。けれどそこはいつも狂気でみちている。神様のボート (新潮文庫)作者: 江國香織出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2002/06/28メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 71回この商品を含むブログ (178件) を見る葉子と草子の親子は、母と私の関係と…

福島へ

フロントガラスから差し込む日差しが、痛いくらいに腕を焼く。それなのに空には鰯雲が泳いでいる。下ばかり向いて歩いていたようだ。高速にのると空がひらける。ようやく秋の気配に気がついた。夏と秋の境目を見落としてしまうところだった。対岸を埋め尽く…

〔おすすめ漫画〕杉浦日向子 「百日紅 (上・下)」

江戸を描かせたら天下一品。杉浦日向子さんの漫画です。残念ながら昨年亡くなられてしまいましたが……百日紅 (上) (ちくま文庫)作者: 杉浦日向子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1996/12/01メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 49回この商品を含むブログ (1…

寅さんの結末 ~ 「男はつらいよ」

「男はつらいよ」の最期の頃の作品をまとめて観ました。第四十七作は、残念ながらビデオ屋さんに在庫なし。男はつらいよ 寅次郎の青春〈シリーズ第45作〉 [DVD]出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ発売日: 2002/07/25メディア: DVDこの商品を含むブログ (2件)…

ますむらひろし 「[ますむら版] 宮沢賢治・童話集 KENJI by CATS」

〈ますむら版〉宮沢賢治・童話集―Kenji by cats作者: ますむらひろし出版社/メーカー: 朝日ソノラマ発売日: 1991/03メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る初めて出逢った「銀河鉄道の夜」は、ますむらひろしさんの漫画をアニメ化…

ほんとうの幸福 ~ 宮沢賢治 「銀河鉄道の夜 第三次稿」

広く知られた最終稿よりも、ブルカニロ博士の登場する第三次稿が好きです。カムパネルラの死が決定的でなく、ラストがほんのりと明るいから。そして何より、最後に車内に現れた「青白い顔の瘠せた大人」(彼はブルカニロ博士の幻影でしょうか)の言葉が、そ…