醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

酒飲みの話

恋人の誕生日に贈った日本酒をようやく開封。それまでまるでボトルキープのように、私の酒瓶と一緒にリボンをつけたまま並んでいた。酒の肴はごぼうと人参のきんぴら。せりの佃煮。きゃらぶき。二人とも底なしの酒好きなので、五合瓶が一時間足らずで空になる。〆にはうどんを茹でた。

お酒は大勢で飲むのも愉しいけれど、一人か二人でしんみりと飲むのが一番好きだ。そういえば恋人と出逢ったばかりの頃も、週に一度は居酒屋でグラスを傾けていた。酒の勢いに助けられた恋である。

一人では、よく飲む。大学の傍に越してから、授業の後に晩酌をする時間ができた。芋焼酎、黒糖焼酎、純米酒、赤ワイン、ラム酒、ウイスキー……。何かしら、部屋には酒瓶が転がっている。

心が疲れていて、ぐでんぐでんに酔っ払ってしまいたいときは一人でひたすら飲む。気がつくと、ワイン一本、または五合瓶が一本空になっている。数年前まではそんなふうに無茶をしても、一晩ぐっすり眠ればすっかり酒気は抜けていたが、このごろはてんで駄目である。今年初めて、二日酔いというものを知った。以来、ちゃんぽんなどすると次の朝青い顔になる。

早いうちから肝臓を酷使し過ぎたか。酒は百薬の長。しかし、過ぎたるはおよばざるがごとし。

酒豪の祖父の血を引き、いくら飲んでも正体を失うことは無いので自分が「何上戸」なのかわからない。しかしこの頃少し弱くなったのか、酔いがまわると涙腺があやしくなる。恋人の口から零れる未来の話に思わず涙ぐみ、酔った振りをして彼の腹に顔を埋める。