よしもとばなな・奈良美智 「アルゼンチンババア」
単行本が初めて書店に並んだとき、私は「アルゼンチンバナナ」だとすっかりかんちがいしていました。「バナナ」と「ババア」。二文字違うだけなのにぜんぜん印象の違うタイトルだ……。
- 作者: よしもとばなな
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/08
- メディア: 文庫
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文庫版でも奈良さんの絵は見ることができるのですが、まだ読んでいない方にはぜひ単行本版をおすすめします。トレーシングペーパー。ちょっとしたしかけ。それはそれはふんだんに散りばめられた絵。
奈良さんの絵がところどころで区切ってくれるために、ばななさんの文章が一つ一つ染み入ります。ふだんならさらりと読み飛ばしてしまいそうなものまで。
- 作者: よしもとばなな,奈良美智
- 出版社/メーカー: ロッキングオン
- 発売日: 2002/12
- メディア: 単行本
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「ああ、お母さんはこれに乗って旅をしていたんだ」
だから、私も、私の体を、ちょうど車をメンテナンスするように大切に扱うようになった。ガソリンはハイオクなのかレギュラーなのか、山道には強いのか、雪が降ったらどうするのか、どういうもので塗装したらいいのか、燃費の悪い食べ物は何で、どう負担がかかるのか。自分の肉体は車だと思うとすごくわかりやすくなって、私は以前よりも健康にさえなった。*1
物語の細部は忘れてしまっていても、この部分だけは好きで覚えていました。自分の身体って、外からみると乗り物と変わらないんだ。この世を生きるための乗りもの。
余談ですが、奈良さんの遺跡くんの絵がすごく好きです。