醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕「やりたいことリスト」をやめる

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濡れて歩く、一歩一歩、両側の山が迫る、谷川の音がうれしい。
すゝき、はぎ、そしてききようやあざみや、名も知らぬ秋花。
山家に高くかゝげてある出征の日の丸、ぶらりと糸瓜

種田山頭火 行乞記 広島・尾道


葉月十一日、雨。降り出したら随分と寒くなり、この秋初めての長袖を出した。

ノートは20冊目になった。これまで、ノートには「やりたいことリスト」を書き続けていた。最初のころはまだ精神科に通院していて、「やりたいこと」は「死んでしまいたい」だとか「ただひたすら寝ていたい」だとか、そんなくらいしかなかった。

ちょっとずつ、書けることが増えていく。「ナントカという本が読みたい」だとか「天橋立を見てみたい」とか。そうしているうちに、何ページにもまたがる長いリストとなった。

ノートを新しいものに切り替えるたびに、このリストを書き写していたけれど、それも大変なほどになった。それに、かなり前に書いてまだ着手していないことは、情熱が薄れてきているのを感じる。

いっそ、リストを書かないことに決めた。もうそのとき、その瞬間に、やりたいと思ったことをどんどんやるのだ。後に取っておく必要なんてないのだ。


納豆ご飯の昼食を食べ、ひたすら仙厓の記事を書いた。

日記も書く。


書き上げて、雨はどんどんと強くなるのに、呑みに行きたくて仕方なくなる。嫌がるジロウを連れ出してひら乃を目指す。

しかし、お休みだった……。との山へ行く。そして釈迦へ。鴨葱の鍋が絶品だった。きりたんぽを入れていただいた。