〔日記〕雪が舞う
- 駐在所の花も
- 真ッ盛り
- 山頭火
すっきりと目覚めた。鼻づまりでバキバキに凝った背中をジロウにほぐしてもらう。
須賀川へ。行きの新幹線で大きめの仕事をこなす。
「いげた」でうな丼定食をいただく。とにかくスタミナをつけなくては。空豆色の爪を女将さんに褒められた。須賀川の昼飯処は、なぜか必ず珈琲が食後についてくるのが嬉しい。
仮庁舎で打ち合わせ。その後、公民館で図書館分科会。会議は3時間半におよんだ。今年度最後の打ち合わせだ。打ち合わせの途中、窓の外を雪が舞い始めた。
ざれうた
[種田山頭火 行乞記 (二)一九三一(昭和六)年]
うれしのうれしやあつい湯のなかで
またの逢瀬をまつわいな
わたしやうれしの湯の町そだち
あついなさけぢやまけはせぬ
たぎる湯の中わたしの胸で
主も菜ツ葉もとけてゆく
もつとも温泉は満喫したが、嬉野ガールはまだ鑑賞しない!
東北本線の中でFacebookに載せる文章を書く。ある一人にだけ届けばよいメッセージだ。ちゃんと届いたようで、安心する。
いつもなら帰りの新幹線の中で仕事の続きをするところだが、19時をまわったので今日は打ち切りにした。鞄の中に突っ込んできた本をめくる。
腹が減ってきた。東京駅改札の中で気軽に食べられるのは、タイ料理とリゾットくらいしか思いつかない。少し冒険して、改札の外に出てみることにする。白ワイン2杯とウニとイクラのパスタにありついた。
コンビニで日本酒300ml瓶と、スルメのゲソと鮭とばを買って帰る。
〔日記〕座禅をする人
- 鐘が鳴る
- 温泉橋を渡る
- 山頭火
夢の中で、三遊亭の長谷川さんは宮古に棲んでいる。中古の平屋を買い取って、数年前に奥さんと二人で移住をしたそうだ。今日は皆が集まって料理をし、酒宴の準備をする。ジロウと同世代の友人たちは、すっかり六十代、七十代になっている。泊まったホテルは生の海の魚が見下ろせるのがウリだ。暗闇の海の中を、鯨のように大きな魚たちが蠢いている。ベランダは無く、ガラス戸を開けると真下は海。魚の群れに交ざって、虚ろな目をした頬白鮫が、宿泊客が足を踏み外して落ちてくるのを待ち構えている。夢の中で買った新しいApple Watchは、画面がやたら大きい。
雪が降つた、忘れ雪といふのださうな。
[種田山頭火 行乞記 (二)一九三一(昭和六)年]
お彼岸が来た、何となく誰もがのんびりしてきた。
床を上げられる程度には元気になった。ありがたい。部屋を片付けて、洗濯も済ます。書類の整理と、いくつか仕事のお願いをして出かける。中央図書館で調べ物。社会人席に少しドキドキしながら座る。子どもの頃、図書館に来ても座ってよい席が空いていなくて、いつもすいている社会人席を疎ましく思っていたことを思い出した。
オクシモロンでエスニックそぼろカリーの激激辛とストロングコーヒー。ナッツとスパイスと香菜がたっぷりのったカリーは、体調が優れないときの活力になる気がする。
旅する仕事場に移動して、大きめの仕事に取りかかる。この春にオープンする新しいオフィスの撮影会。座禅する人の役をする。仕事場のみんなと、抹茶色の座布団を一人ひとつ持って鎌倉を移動する様は微笑ましかった。
19時半まで仕事。鼻が詰まって口で息をしているので、集中するとしばらく息が止まった状態になる。潜水をしているように文章を書く。