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醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

文化庁国際シンポジウム「現代芸術アーカイヴの構築に向けて—— 保存・発信・活性化」に参加しました。

情報学 図書館

慶應義塾大学三田キャンパス南校舎ホールで開催された、新進芸術家海外研修制度発足50周年記念 国際シンポジウム「日本の現代美術を支える——未来へ、そしてレガシーへ」の第2日目、「現代芸術アーカイヴの構築に向けて—— 保存・発信・活性化」に参加してきました。

zaiken50.jp

コーディネーターは、慶應義塾大学アート・センター教授でありキュレーターの渡部葉子氏。慶應義塾大学アート・センターは、かつてワタクシ野原が事務の嘱託職員として、5ヶ月間だけお世話になった研究所でもあります。その節は大変お世話になりました。

アーカイヴは資料を集めて保管するだけでなく、いかに活用してもらえるかということも大切。本シンポジウムは、国内外の事例を怒涛の勢いで学べる5時間(!)となりました。

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基調講演 1:ファラ・ワルダニ「東南アジアのアートと社会におけるアート・アーカイヴの重要性と挑戦」

ファラ・ワルダニ氏は、シンガポール・ナショナル・ギャラリー、リソース・センター副所長であり、インドネシアで初めての現代アート・アーカイヴを設立した方です。キュレーションだけでなく、教育に関わったり、ライターとして活躍したり、マルチな活動をされているのだそう。「アートシーンではスペシャリストとして特化することはできない」という言葉が印象的でした。ニッチな世界ではジェネラリストであることが大切。なるほど……。ワルダニ氏にとってアーカイヴとは、「パッション」。たとえそれが、他の人から見たらゴミのようなジャンクに過ぎなくても。多くの人が「どうでもいい」と思うような資料を取り扱うのは、果てしない気の遠くなるような取り組みです。

www.nationalgallery.sg

アーカイヴを広く知ってもらえるように、のインドネシア・ビジュアル・アート・アーカイブ(IVAA)では、若いアーティストに参加してもらって、アーカイヴを活用した作品をつくってもらうプロジェクトを行っているそうです。若いアーティストらが、アーカイヴそのものに新しい価値を与えていきます。

Indonesian Visual Art Archive | HomeIndonesian Visual Art Archive | Home

基調講演 2:ジョー・メルヴィン「彫刻、ソフトからハードへ、そして行きつ戻りつ・・・バリー・フラナガンとその同時代人たち」

ジョー・メルヴィン氏は、バリー・フラナガン・エステートのディレクター。兎の彫刻家として日本でも知られるバリー・フラナガンの遺したものを管理し、研究されています。

THE ESTATE OF BARRY FLANAGANTHE ESTATE OF BARRY FLANAGAN

バリー・フラナガンは、多くの人に作品やその他さまざまなものを見られることが大事だと考えていた芸術家だったそうです。生前から、アーカイヴのための資金を用意していたとか。自分が生み出したものをどう残していくか、作家自身がきちんと考えるべきだとメルヴィン氏は言います。そしてもし、作家自身が責任を持って考えていなかった場合、そのアーカイヴを管理する責任を持つのは、美術館なのか、あるいは何かの団体なのか。そのあたりをしっかり考えておくべきだ、と。

セッション1:日本からの現代芸術発信に向けて

後半のケーススタディでは、なんと7組もの、国内でアーカイヴを手掛けるみなさんが事例報告をされました。濃厚。

具体美術協会

「具体美術協会」のアーカイヴを担うのは、現在設計プロポーザルの最中である大阪新美術館建設準備室の高柳有紀子氏。

Artrip Museum 大阪新美術館コレクションArtrip Museum 大阪新美術館コレクション

もの派

「もの派」については、建畠晢氏(多摩美術大学)、梅津元氏(埼玉県立近代美術館)、上崎千氏(横浜国立大学非常勤講師)。もの派は、作品自体がほとんど残っていないのだそうです。展覧会をひとつのキーとしてアーカイヴを構築されているそうですが、展覧会のパンフレットだけでは実際どんな展示がされていたのかわからず、当時の担当者などを当たって話を聞き出すなど、なかなか大変そうな取り組みです……。サイトの構築も今後の課題とのことでした。

1970年代アートの記録—Video Information Centerを中心に

慶應義塾大学アート・センターのプロジェクトを紹介されたのは、本間友氏。Video Information Center(VIC)は、国際基督教大学の学生によって1972年に立ち上がった団体です。ビデオを用いてイベントを記録し、アパートからCATV放送をするという実験的なテレビ放送を行っていたとか。残された映像記録をデジタル化していくのが、目下の取り組みとなるそう。大量の映像資料は、慶應義塾大学日吉キャンパスの西別館に、ラベリングをされた上で保管されています。

慶應義塾大学アート・センター(KUAC)
 | 1970年代アートの記録―Video Information Center を中心に慶應義塾大学アート・センター(KUAC)
| 1970年代アートの記録―Video Information Center を中心に

セッション2:アーカイヴのキャリアパス

佐賀町エキジビット・スペース

佐賀町エキジビット・スペースについては、小池一子氏から。「まだまだ私たちの取り組みは、ベビーアーカイヴ」とおっしゃっていましたが、1983年に東京都江東区佐賀町で始まったこの「佐賀町エキジビット・スペース」という取り組みは、多くの方に影響を与えたもの。バブル経済の破綻でビルが売却されてしまい、スペース自体は2000年に17年間の歴史を閉じましたが、2011年に「佐賀町アーカイブ」として蘇りました。

佐賀町アーカイブ佐賀町アーカイブ

デザイン・アーカイヴ

デザイン・アーカイヴを紹介されたのは、京都工芸繊維大学の並木誠士氏。このアーカイヴは、文化庁「アーカイブ中核拠点形成モデル事業」として、武蔵野美術大学、文化学園大学、京都工芸繊維大学と、協力委員会によって構築され始めたのだそうです。どこまでが「デザイン」としてのアーカイヴの対象になるのか……難しい課題を抱えていますが、興味深いです。

草月アートセンター資料

草月アートセンター資料については、一般財団法人草月会の米田竜介氏がその概要を、慶應義塾大学アート・センターの久保仁志氏が研究内容を報告されました。「草月」は、勅使河原蒼風を初代家元とする、造形的な表現に挑戦するいけばなの流派です。生きている花を使った表現は、写真などの記録媒体がなければ後世に残すことはできません。家元は写真の研究にも熱心で、いけばなの伝書も残そうとしてきました。いけばなに留まらず、幅広い表現の場として始まった「草月アートセンター」の紙資料は、現在は慶應義塾大学アート・センターに寄託されています。

いけばな草月流 草月アートセンター | 草月を知るいけばな草月流 草月アートセンター | 草月を知る

建築アーカイヴ

建築アーカイヴについては、文化庁国立近現代建築資料館の藤本貴子氏から。大髙正人の建築資料を担当されているそうです。その主なアーカイヴの資料体は図面。トレーシングペーパーの原本に青焼き……多くは丸められて図面筒に入れられた状態で残されていました。それらに重しをしてフラットにするところから作業は始まります。その後、鉛筆でナンバリングがほどこされ、目録が取られた上で保管されていきます。都市計画の報告書などの資料が多く残っているところが、大髙正人のアーカイヴならではの特徴なのだそうです。集められた資料は、閲覧希望に対応する他、展覧会として活用されています。

文化庁 国立近現代建築資料館文化庁 国立近現代建築資料館

アーカイヴという悪夢みたいなもの

諸行無常の世に置いて、本来なら簡単に消え去ってしまうモノを収拾して保管し、後世につなげようとするアーカイヴ。その自然に抗うような取り組み、そのものこそが現代アートみたいなもので、保存するためにもがき続けていく悪夢である。……なるほどと思いました。どんなものがアーカイヴ資料として貴重なのか、判断することは難しい……いや、判断してはいけないのかもしれないですね。とにかく残すこと。ひたすら、忘却に抗うこと。果てしもない作業だけれど、そうやって残されたものがきっと何かに繋がるに違いない。アーカイヴという悪夢は、ワルダニ氏が言うように、それでもやっぱり情熱を注ぎたい活動なのだと思うのです。

野原海明のお仕事一覧(ライター系) 2016年12月25日更新

まとめ

本格文學朗読演劇『極上文學』クロニクル(徳間書店)

「極上文學」は、日本文学の名作を若手俳優たちが演じる朗読演劇。これまでに上演された10作品の名場面が写真集になりました。原作となった文学作品の解説を執筆しました。

本格文學朗読演劇『極上文學』クロニクル

本格文學朗読演劇『極上文學』クロニクル

『マガジン航』連載「地方の図書館とその夜」

日本各地のユニークな図書館と、その近くの良き呑み屋(ここ大事)、それらにまつわるイイ男(稀にイイ女)をご紹介していきます。

第2回《長野》アルプスの図書館に「黒船」がやってきた «  マガジン航[kɔː]第2回《長野》アルプスの図書館に「黒船」がやってきた « マガジン航[kɔː]

第1回《気仙沼》「仙人」館長の図書館は遥か海へひらく «  マガジン航[kɔː]第1回《気仙沼》「仙人」館長の図書館は遥か海へひらく « マガジン航[kɔː]

『ファンタジーへの誘い:ストーリーテラーのことのは』(徳間書店)

雑誌『TricksterAge』での連載が、1冊の本にまとまりました!
櫛木理宇氏、三上延氏、知念実希人氏、似鳥鶏氏、大沼紀子氏のインタビュー記事執筆を担当しました。

ファンタジーへの誘い: ストーリーテラーのことのは

ファンタジーへの誘い: ストーリーテラーのことのは

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「すぐやる」だけでは仕事は終わらない。~ マーク・フォスター『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版』

書評

仕事術の本が好きだ。ビジネス書を読むのは、おれにとってほぼ娯楽である。だけど、「これは」と思う仕事術の本には滅多に出会えない。そんな中、『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版』は久し振りのヒットだ。ぜひともご紹介をしたい。

仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版

仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則・完全版

「なんでARG(アカデミック・リソース・ガイド株式会社)に入ったの?」とよく訊かれる。かっこいい志を答えたいところだが、本音は、代表の岡本真氏の働き方に興味があったから。初めての会議で岡本氏が説明した働き方は、そんじょそこらの仕事術の本よりもよっぽど面白かった。ビジネス書マニアとしては、飛び込んでみずにはいられない。

ARGでは、スケジュール管理は徹底してGoogleカレンダーを使う。会議の予定だけでなく、作業時間も入力するというのが、推奨される時間管理方法だ。ただ、自分はこのやり方ではうまくいかないと、3年間の業務を通してひしひしと感じていた。あまのじゃくのおれは、先に自分の予定を決めると、絶対違うことをやりたくなるのだ。

書店でもよく見かける「すぐやる」仕事術も試してみた。細かい仕事はパッパと終わるが、大きな仕事はなかなか思うように進まない。反射的に初めてみても、工程計算ができないので、〆切間際に血を吐きそうになる。

がっちりした時間管理に向かない自分が、工程管理をしつつ、やる気を保ちつつ仕事をするにはどうすればいいのか。長く悩み続けていたことの答えを、この本で見つけられたかもしれない。

すべての仕事は、「明日やる」が基本

仕事は毎日突発的に発生する。来た球をその都度打ち返していては、いつか破綻する。本書では、あらたなタスクが発生したとき、まずは下記の3つに分類をする方法を勧めている。

緊急レベル1 今すぐ
緊急レベル2 今日中に
緊急レベル3 明日やる

「子どもが熱を出した」という事態には、当然「今すぐ」対応しなければならない。しかし、すべてのタスクが本当に今日中にする必要があるものなのか。ましてや、今すぐに取り掛かるべきものなのか。書名にもなっている「マニャーナ」とは、「明日」を意味するスペイン語だ。本書の原タイトルは『Do It Tomorrow And Other Secrets or Time Management』。そう、仕事の基本は「明日やることにする」こと。それは、先送りとは違う。明日に回した仕事は、必ず明日にはやるのだから。

「すぐやる」仕事術だと、どうでもいい仕事ばかりが片付く

仕事には「忙しいだけの仕事」と「本当の仕事」があると、本書で紹介される。「本当の仕事」とは、自分にしかできない仕事、自分のビジョンにのっとった大切な仕事だ。すぐやる手法のみでは、対応しやすい「忙しいだけの仕事」ばかりが片付き、「本当の仕事」は後回しになってしまう。なるほど、これまで「すぐやる」仕事術でガシガシと働いていたけれど、疲れきるまで働いてもなんだか達成感が得られなかったのはそのせいか。

「すぐやる」方法オンリーだと、すべての仕事は「今すぐ」か「後で」に分類されてしまう。「後で」は、決してやってこない未来。だからこそマニャーナの法則では、「明日やる」もしくは「明日以降の特定の日にやる」と決める。「いつかやる」と思っていたことが、その日にやるべきタスクに変わる。

TO DOリストでは、仕事は終わらない

大切なのは、TO DOリスト(オープン・リスト)ではなく、WILL DOリスト(クローズ・リスト)を作ることだ。TO DOリストには、やるべきことが次から次に追加されていく。これだと、優先順位をつけたとしても、自分のできる仕事量を超えてすぐにパンクしてしまう。そうでなく、一日一日で完結するWILL DOリストをつくるのだ。それが、本書の言う「タスク・ダイアリー」である。紙の手帳でも、デジタルでもどちらでもいいそうだが、おれの場合は紙の手帳(ほぼ日手帳)を使っている。

新しく仕事が発生したら、超緊急なもの以外は、明日か明日以降のページに記入する。一日の仕事を終えるときには、明日のページのリストを確認し、線をひいてクローズする。明日やる仕事は、つまりこれだけである。その日のうちにできなかった仕事は明日に繰り越す。どうしても「今日中に」対処しなければいけない仕事が入ってきた場合は、クローズした線の下に記入する。

紙の手帳の利点のひとつは、書けるスペースが限られていること。詰め込み過ぎてはこなせなくなる。もうひとつは、手でいちいち書き写すので、繰り越しのタスクが増えているのを意識できること。何回も同じタスクを書き写すのは面倒だから、サクッとやっつけたいという意欲が湧く。

モチベーションを保つ秘訣は「仕事が予定通りに進む」こと

会議の予定などは、これまで通りGoogleカレンダーを使っているが、合わせてタスク・ダイアリーにも書き込んでおく。予定が多い日は、こなせるタスクも少ない。無理して多くの仕事を入れないのが基本だ。ページの半分が埋まったら、それ以上は書き込まず、翌々日以降にまわす(もちろん、〆切との兼ね合いも気をつけながら)。できるだけバッファを持たせて、不足の事態を消化できるようにしておく。もし仕事が早く済んだなら、他の仕事を先取りもできるし、遊びに行くこともできる。ゆとりは大事。

やる気を保つ秘訣は? それは、「仕事が予定通りに進んでいる」という実感だと本書は言う。そして大切なのは、本に書いてある通りのことだけをするのでなく、自分ならではのシステムを開発していくこと。マニャーナの法則を取り入れて、現在10日目。ちまちま変更を続けながら編み出した自分ならではのシステムを、また追ってお知らせしたい。

野原海明のお仕事一覧(図書館コンサル系)2016年11月16日更新

まとめ

アカデミック・リソース・ガイド株式会社のパートナースタッフとして、図書館をはじめ様々な文化施設等のコンサルティング業務を請け負っています。
arg-corp.jp

須賀川市市民交流センター管理運営等支援業務

福島県須賀川市に新たにつくられる市民交流センターの支援業務を担当しています。図書館機能、公民館機能、子育て支援機能が融合した、これまでにないかたちの公共施設です。5階の「展示交流スペース」(仮称)には、須賀川市出身の円谷英二氏を讃えるミュージアムがつくられます。

(仮称)市民交流センター整備事業/須賀川市公式ウェブサイト
声のパレット〜(仮称)須賀川市市民交流センターのプレサイト〜


須賀川市市民交流センター完成後のイメージ映像

別府市図書館・美術館整備基本構想策定業務

大分県別府市の図書館と美術館が融合した新しい施設の構想をつくる支援をしています。ワークショップも開催されますので、Facebookページにぜひともご注目ください!

別府市図書館・美術館整備基本構想策定への取り組み|別府市
図書館・美術館整備基本構想(別府市役所 生涯学習課)Facebookページ
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気仙沼図書館災害復旧事業及び(仮称)気仙沼児童センター整備事業設計業務

東日本大震災で被害を受けた気仙沼図書館と、手狭になっていた児童センターとが融合した施設です。同じフロアに図書館と児童センターがあるという施設は前例がありますが、一体的に混ざり合うのは気仙沼が初となるのではないでしょうか。
野原がARGにジョインして、初めて本格的に関わらせてもらった事業です。

気仙沼図書館 Facebookページ
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講演も承っております。

福島県図書館研究集会で事例発表をしました。

www.slideshare.net

株式会社ブレインテック様にて社内研修の講師を務めました。

www.slideshare.net

いま何の仕事をやったらいいのか脳に聞いてみよう~菅原洋平『脳にいい24時間の使い方』

書評

「朝は創造的な仕事をして、昼は運動して、夜は語らい合う」のがいいと、アン・モロウ・リンドバーグの『海からの贈物 (新潮文庫)』には書いてあった気がする。「そういう生活って素敵!」と思ってフリーランスになったわけだが、科学的にはどうなの? ということで、『脳にいい24時間の使い方』を読んでみた。

脳にいい24時間の使い方

脳にいい24時間の使い方

本書によれば、

午前(起床時間から6時間後まで)
 :頭を使う
昼 (〃 7~9時間後まで)
 :手を動かす
夕方(〃 10~11時間後まで)
  :体を使う
夜 (〃 12時間後から次の起床まで)
 :内蔵を使う 

のがベストであるとのこと。夕方起きて夜中活動する人も、「起床から何時間たったか」で計算をすれば当てはめられる。以降、おれの起床時間(だいたい6時)を自分のメモ用に当てはめていく。

だいたい6時起きの野原さんの場合

6~12時まで → 頭を使う
13~15時まで → 手を動かす
16~17時まで → 体を使う
18~翌朝まで → 内蔵を使う

ちなみに、起床から8時間後と22時間後は脳が働かなくなる時間帯だそうだ。俺の場合は、14時と2時だね。それを見越して、「4-6-11睡眠の法則」というのを取り入れると、睡眠リズムが整うそうだ。

「4-6-11睡眠の法則」

  • 起床から4時間後以内(10時まで)に光を見る
  • 6時間後(12時)にいったん目を閉じる
  • 11時間後(17時)に姿勢を良くする

これらすべてを実行しなくても、どれか一つやれば大丈夫とのこと。

起床!(6時)はスヌーズ機能が命取り。

1回の目覚ましでガバッと起きるべし。寝る前には次の日起きたい時間を3回唱えること。

早起きを習慣化したい場合は、「前日に目が覚めた時間」に起きることにする。そうすると、コルチゾールという物質の働きで、ちょっとだけ早く目が覚めるので、その瞬間にガバッと起きる。翌日は、ガバッと起きたその時間に目覚ましをセット。ちょっとずつだけど、目が覚めるのが早くなっていく。

夜中に目が覚めたときに、時計を見てはいけない。「あと3時間は眠れる……」と考えてしまうと、脳に「3時間」という言語がインプットされてしまう。

体は、朝日を基準に2ヶ月後の状態を準備している。朝日を浴びることで鬱は防げる。

夜勤と日勤がある人の睡眠の調整方法も本書には記されている。ここではメモしないが、当てはまる方はぜひ、本書参照されたし。

目覚めて2時間後(8時)は、重要な決断に向いている。

通勤中は、「ノーメディア」で外の景色を見ることで、脳が整理される。
コーヒーは、それまで嗅いでいた匂いをリセットする力がある。カフェインが脳内に到達するのは30分後なので、眠気覚ましとしての即効性は無い。匂いと記憶は、セット。コーヒーの香りでリセットした後に、他の香りと共に覚えたことは記憶に残る。

脳が最も活発になるのは、起床から4時間後(10時)。

創造的な作業はこの時間がベスト。

メンタルが最も強いのは、起床から5時間後(11時)。

人と話すということは、空気を介してお互いの菌を交換することに等しい。免疫が下がっているときは、人と話すだけでダメージが大きい。人と合うのが億劫なときは、まずは自分に優しくしよう。

午後のウトウトを防ぐには、起床から6時間後(12時)に仮眠。

座ったまま1~30分、仮眠を取る。目を閉じるだけでも効果あり。仮眠のときも、目を覚ましたい時間を3回唱えること。30分以上は眠らない。

眠気を感じていなくても、書類の内容が頭に入ってこないというときは、脳が悲鳴を上げている状態。そんなときは1分でいいので仮眠をとるべし。

起床7時間後(13時)はアドレナリンの分泌が最高になる。

目と手の強調能力が高まる時間なので、単純な手作業向き。熱しやすいので、細かい議論には不向き。この時間帯の会議には注意。

テンションが上がらないときは、鉄分が不足しているのかも。ろれつがまわらなくなったり、思ったことと違うことを口走るのは、逆にテンションの上がりすぎ。

起床8時間後(14時)、テンションが急速にすぼまる時間。

ひたすら手を動かすシングルタスク向き。

起床9時間後(15時)、楽観的になる。

反省会や勉強会向き。

起床10~11時間後(16~17時)、体のパフォーマンスが最高になる。

この時間に眠ってしまうと、夜は眠れなくなるので要注意。姿勢が悪くてもパフォーマンスが落ちる。運動するならこの時間がベスト。

起床14時間後(20時)は、アルコールの分解能力が最も高い。

昼酒が酔いやすく感じるのはそのせい。お酒を呑む時は、お酒による脱水症状に備えて、あらかじめコップに1杯の水を飲んでおくこと。

朝は重めな仕事をして、昼は単純作業して、夕方に体を動かして、夜は一献……という感じかしらっ。しかし、創造的な仕事から始めると、昼過ぎに力尽きて単純作業が回らないという現実もあり。今は、とにかく単純作業をバシバシこなしてから集中する仕事にとりかかる、という方法を実験中です。

〔日記〕アルコールがなくては私の生活はあまりにさびしい

日記

 九月十九日 晴、小林町、川辺屋(四〇・中)

いかにも秋らしいお天気である、心もかろく身もかろく午前中三時間、駅附近を行乞する、そして十二時の汽車で小林町へ、また二時間行乞。
此宿は探しまはつて探しあてたゞけあつてよかつた、食べものは近来にないまづさであるが、一室一燈を占有してゐられるのが、私には何よりうれしい。
夜はだいぶ飲んだ、無何有郷を彷徨した、アルコールがなくては私の生活はあまりにさびしい、まじめですなほな私は私自身にとつてはみじめで仕方がない。

種田山頭火 行乞記 (一)

二〇一六年の九月十九日は雨である。台風が接近しているせいか、このところの天気予報はいつも雨だ。鬱々としているのはそのせいだろうか。朝になっても起きる気にならず、昼過ぎまで薄暗い空を見ては、眠りの中に引きずり込まれる。こんなことをしている場合ではないのにという焦りに心臓のあたりがきゅうきゅうと痛む。

風邪もあまりよくならない。目覚めた瞬間から体の痛みにのたうつ。前日に入れたスケジュールを諦める。昼からワインを流し込み、考えるのやめにする。

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でもおれは知っている。その鬱のすべてが、小説が上手く書けないせいであることを。

檻から出た獣が最後に犯した「罪」とは? ~ 薬丸岳『ラストナイト』

書評

顔には豹柄の刺青、左手は義手。何度も罪を犯し、その半生の殆どを刑務所で過ごしてきたた片桐達夫。59才になった片桐が刑務所を出てからふらりと顔を出したのは、30年来の友人である菊池正弘の居酒屋「菊屋」だった。

ラストナイト

ラストナイト

物語は、片桐を取り巻く人間の視点から語られる。菊池、弁護士の中村、娘のひかり……。世間から忌み嫌われる片桐だが、読み進めるうちにその刺青の下に隠された感情が気になって仕方なくなる。乱暴な素振りの裏に、ふと彼の人間らしい情がのぞく。

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終わりなき銀河に旅立つために ~水族館劇場 東京報告会 に行ってきた。

美術 随想

水族館劇場という役者徒党がある。鎌倉の立ち飲み屋、ヒグラシ文庫に通うようになって、その存在を知った。寄せ場を中心に各地を流浪し、野外劇を続けている集団である。ヒグラシ文庫の店主、中原蒼二氏がこの劇団のプロデューサーだ。

古本遊戯 流浪堂を会場にして開催された2日目のトークイベント「グローバル化への抵抗として」におじゃましてきた。

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2日間に渡るトークイベント「終わりなき銀河に旅立つために」は、2016年5月に三重県の芸濃町(現在は津市に合併されている)の巡礼札所の境内で打たれた芝居「バノラマ島綺譚外傳 この世のような夢」の報告会であり、東京公演につなげるための礎石となる。

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文学って何だ!?

随想

お絵かきの延長で漫画を描くようになって、小学校高学年になるとちょっと背伸びしてファンタジーを書くようになった。メルヘンでなく、血みどろに戦ったり、世界が終わったりする暗いやつを。

高校ではログインすればパソコンが自由に使えるので嬉しくて、とにかく書きまくった。部活を5つ兼部して、そのうち2つが部長という超ハードな日々だったたけれど、30分でも時間がとれればパソコン室に走って行った。

自然環境科を卒業した後は、山でフィールド調査とネイチャーガイドをして食っていこうと思っていた。しかし、いかんせん実験とかが性に合わない。それならば文章を書く人になって、理系の人たちが研究している難しいことを噛み砕いて、わかりやすい文章や物語にしてしまえばいいんじゃないか。そうだ、大学は芸術学部か文学部に行こう。

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意気揚々と大阪芸大オープンキャンパスに行く。おかっぱ頭の草間彌生みたいな文芸学科の教授に思いを力説する。
たつみや章みたいに、環境問題に興味を持ってもらえるような童話を書きたいんです!」
教授はのけぞって笑った。
「貴方ね、文学とは、そういうものではないのよ」

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仕事は「ロケットスタート」で集中すべし。~中島聡『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』

書評

著者は、米国マイクロソフト本社でWindows95の基本設計を担当した中島聡(なかじま・さとし)氏。「右クリック」「ダブルクリック」「ドロップ&ドラッグ」の生みの親で、現在はUIEvolutionのCEOである。プログラマーとしての視点から仕事術を説く。

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である

なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である

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〔日記〕夜の小町の裏通り

日記

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  • きんぽうげ、
  • むかしの
  • 友とあるく
  • 山頭火

五月十一日 十二日 十三日 十四日 十五日
酒、酒、酒、酒、酒、……遊びすぎた、安易になりすぎた、友情に甘えすぎた、伊東君の生活を紊したのが、殊に奥さんを悲しませたのは悪かつた、無論、私自身の生活気分はメチヤクチヤとなつた。……

種田山頭火 行乞記 (二)

ゴールデン・ウィークが終わる。お店の人たちは少し、ほっとした顔をしている。稼ぎ時ではあるけれど、あれほど混雑が続いてしまっては身がもたない。

夜の小町通りを歩く人は少ない。故人を偲んで口笛を吹きつつ歩いていた呑み仲間も、すでに鬼籍に入ってしまった。いろんな人が通りすぎて、去っていった。

「なみだ恋」を真似て、「夜の小町の裏通り……」と呟きながら歩く。

〔日記〕 渋谷

日記 随想

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  • 雪空、
  • 痒いところを
  • 掻く
  • 山頭火

 一月十四日 曇、降りさうで降らない雪模様。しかし、とにかく、炬燵があつて粕汁があつて、そして――。
東京の林君から来信、すぐ返信を書く、お互に年をとりましたね、でもまだ色気がありますね、日暮れて途遠し、そして、さうだ、そしてまだよぼ/\してゐますね。……

種田山頭火 行乞記 三八九日記

渋谷は、何度訪れても道に迷う。入り組んだ谷と、放射状の道がよくない。
しかし年々迷宮らしさを増していく渋谷駅で、岡本太郎の絵に出逢うと、はっとする。急ぐ人々は顔も上げずに通りすぎていくが、おれはどうしても立ち止まってしまう。

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自分の心のなかが、いちばん遠い。~ 三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』

書評

主人公の多田啓介は、まほろ市で細々と「多田便利軒」という便利屋を営んでいる。多田便利「屋」ではなく、ラーメン屋みたいに「軒」にしたのは、行天春彦いわく、

語呂が悪いから? 『便利屋多田』だと、だと、やっぱり『便利屋タダ』みたいだしね*1

ということらしいが、多田はなんとも言わない。たぶんまあ、そうなんだろう。

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

*1:三浦しをんまほろ駅前多田便利軒』文藝春秋、2006.07、p.26

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本を出すということ

日記 随想

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  • 曇り日の
  • 重いもの
  • 牽きなやむ
  • 山頭火

 一月十二日 曇、陰欝そのものといつたやうな天候だ。
外は雪、内は酒――憂欝を消すものは、いや、融かすものは何か、酒、入浴、談笑、散歩、等、等、私にあつては。

種田山頭火 行乞記 三八九日記

「小説家の卵の」
「小説家を目指している」
「小説家になるという夢を待つ」

という、紹介の枕詞。どれも違うぜ、勘弁してくれよ、と思う。どうやら世間的には、大手出版社から単著を出している者だけが小説家、らしい。

他人の評価は他人のものである。他人から「小説家」と呼ばれたいが為に小説を書いてるわけじゃない。

ああ、でも、そうだね。おれの書くものを欲する人に届くように、全国どの書店でも、紙の本として買える物を出すというのは、おれに課せれた責務なのかもしれない。

〔日記〕 故郷は遠く、遠い。ただ草津を歩くことにする。

日記 随想

 一月十一日 曇つて晴れる、雪の後のなごやかさ。
あんまり寒いから一杯ひつかける、流行感冒にでもかゝつてはつまらないから、といふのはやつぱり嘘だ、酒好きは何のかのといつては飲む、まあ、飲める間に飲んでおくがよからう、飲みたくても飲めない時節があるし、飲めても飲めない時節がある。……

種田山頭火 行乞記 三八九日記

草津から帰ってきたら、ぐったりとしている。一瞬通り過ぎた故郷には何故だか懐かしさの欠片も感じない。そこはただ、昔からの友人たちが住んでいるだけの街になった。遥か遠い、どこか遠い街にやってきたようだ。

草津の「子供お断り」の頑固そうな居酒屋では、地元のおにいさんが遅くに暖簾をくぐって「今日はマグロ、ある?」と聞いていた。少し凍ったマグロがご馳走であった故郷。なぜ大人はあんなものを有難がって食べるんだろう。不思議で仕方なかった。シャーベットのようなマグロのブツ、味のしないイカ刺し。味噌がベースのぼやけた味の煮込み料理。そうだ、おれはそんな郷土の食い物が好きではなかった。食べることのが嫌いな子供に育っていた。食事をするくらいなら、本を読んでいたかった。

草津はたぶん初めてではないはずなのだが、いつ来たのかは覚えていない。「熱帯園へイグアナを見に行く」と言ったら、連れが誰もついてこなかったので、仕方なく独りで湯けむりのたつ街をぶらぶらと歩く。

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