醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕板橋区公文書館に行く

モバイルWi-Fiの速度制限がかかってしまったので、あわてて御成オフィスに出社して朝のSkype会議に参加する。そのまま11時まで仕事。コンビニでお昼を買って赤羽へ向かう。今日は板橋区公文書館の視察と会議。公文書館を持っているのは、23区では板橋区のみだ。

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そのまま、新しい板橋区立中央図書館の、児童フロアやボローニャ子ども絵本館フロアについての打ち合わせ。白熱。

帰りがけに、東京駅前でシェアの実験をしている小さな車を何台も見た。やがて自動車は、みんなでシェアする時代になるのだろうか。

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空模様のやうに私の心も暗い、降つたり照つたり私の心も。……
ふりかへらない私であつたが、いつとなくふりかへるやうになつた、私の過去はたゞ過失の堆積、随つて、悔の連続だつた、同一の過失、同一の悔をくりかへし、くりかへしたに過ぎないではないか、あゝ。
払ふべきものは払つた、といつてはいひすぎる、払へるだけは払つた
多少、ほがらかになつたやうである。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

モバイルWi-Fiが全然使えないので、帰りの電車では本を読む。力尽きて呑みに行く。ヒグラシで常温一合、カツオのたたき、豚バラなんこつのトマト煮。釈迦で、青唐辛子がたんまりのった炊き込みご飯、一ノ蔵一合。鮭とばとイカゲソを買って帰る。

〔日記〕ちょうどいい季節

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  • 握つてくれた
  • 手のつめたさで
  • 葉ざくら
  • 山頭火

新白河駅経由で須賀川に向かう。新幹線の中でハラスイクラ弁当。暑くもなく寒くもなく、ちょうどよい季節になった。風はひんやりと冷たい。李さんは「少し寒いね」と顔をしかめていたが、須賀川市の人は汗だくになっていた。東北にも夏がやってきた。

会議はちょうど2時間で終わる。明日のイベントに出演する李さんとホテルウィング前で解散。とんぼ返りで鎌倉に戻る。

あんまり神経がいらだつので飲んだ、そして飲みすぎた、当面の興奮はおさまつたが、沈衰がやつてきた、当分また苦しみ悩む外ない。
笑へない喜劇、泣けない悲劇、それが私の生活ではないか。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

この頃はよく腹が減る。そして眠い。いくら寝ても眠れてしまう。新幹線の中で爆睡。うっかりモバイルWi-Fiを制限の限りまで使ってしまったので、ネットがとても遅い。高校時代、Yahoo!のトップ画面が表示されるのに30分かかったパソコンを思い出した。

釈迦へ。日本酒二合。鰹。ヒグラシへ。常温一合、ハヤシヤッコ。

〔日記〕傘が咲く

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  • これで田植ができる
  • 雨を聴きつゝ寝る
  • 山頭火

西瓜柄の傘をさしてオフィスへ向かう。交差点に鎌女の女子高生の傘が咲く。オフィスで朝会。その後集中して仕事。勝治の青唐辛痛麺。午後から次のワークショップの打ち合わせ。辛いらーめんが辛すぎて腹を下す(しかしやめられない)。

そのまま19時過ぎまでオフィスで仕事。クロスオーBarへ。

自分でも気味のわるいほど、あたまが澄んで冴えてきた、私もどうやら転換するらしい、――左から右へ、――酒から茶へ
何故生きてるか、と問はれて、生きてるから生きてる、と答へることが出来るやうになつた、此問答の中に、私の人生観も社会観も宇宙観もすべてが籠つてゐるのだ。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

新生姜の肉巻き、ホンビノス貝、手羽先揚げ。フライライスまでしっかり食べて帰る。

〔日記〕ほっかむり

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  • 夏めいた
  • 灯かげ月かげを掃く
  • 山頭火

お休みをとる。ジロウがなかなか起きないので、ドラッグストアに買い物へ行った帰りに、コンビニでワインとミートソーススパゲッティを買って帰る。ちびちび呑みながら本を読む。

ジロウが起きてきて、一緒に散歩に出掛ける。稲村ヶ崎の海岸でトンビに警戒しながらビールと焼き鳥。その後、134号線沿いに腰越方面に向かって歩く。小動(こゆるぎ)神社に参拝。狛犬がほっかむりをしている。

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そのまま腰越のまちなかをぶらぶら歩く。江ノ電路面電車として走っているところを、初めて歩行者として眺める。

いつのまにか江ノ島に着いている。裏道で猫に挨拶をする。

雨につけ風につけ、私はやつぱりルンペンの事を考へずにはゐられない、家を持たない人、金を持たない人、保護者を持たない人、そして食慾を持ち愛慾を持ち、一切の執着煩悩を持つてゐる人だ!
ルンペンは固より放浪癖にひきずられてゐるが、彼等の致命傷は、怠惰である、根気がないといふことである、酒も飲まない、女も買はない、賭博もしない、喧嘩もしない、そしてたゞ仕事がしたくない、といふルンペンに対しては長大息する外ない、彼等は永久に救はれないのだ。
今日も焼酎一合十一銭、飛魚二尾で五銭、塩焼にしてちびり/\、それで往生安楽国!

種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

江ノ電で鎌倉に戻る。あさつきでサザエ、蛸、日本酒。釈迦で日本酒、じゃがベーコン。ヒグラシで冷酒。スーパーで買い物して帰る。

〔日記〕明治大学和泉図書館へ行く

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  • 梅雨の満月が
  • 本堂のうしろから
  • 山頭火

板橋区のみなさんと明治大学和泉図書館へ視察に行く。自分自身は訪れるのは三度目となる。今日も学生はよくくつろいでいる。勉強のための利用ではなくても、まずは図書館という環境に親しませるという点において、この大学図書館はとても優れていると思う。それは、設計を進めていくなかで、図書館担当者が思いっきり熱意を込めた結果なのだろう。

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その後、板橋区立中央図書館へ移動。検討が必要な点、調査が必要な点の洗い出し。

笠から蜘蛛がぶらさがる、小さい可愛い蜘蛛だ、彼はいつまで私といつしよに歩かうといふのか、そんなに私といつしよに歩くことが好きなのかよ。

種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

湘南新宿ラインで鎌倉に戻る。力尽きて呑みに出る。釈迦、ヒグラシ。

〔日記〕コンビニ

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  • こゝもそこも
  • どくだみの
  • 花ざかり
  • 山頭火

ARG全体会で朝から関内のオフィスへ。9時から19時までみっちり会議。日曜の関内は、やっている店が少ない。海老らーめんが込んでいたので、あきらめてコンビニで冷やしらーめんを買う。

昨日も今日もまたサケナシデー、すこし切ない。
近頃、ひとりごとをいふやうになつた、年齢の加減か、独居のせいか、何とかいふ支那の禅師の話を思ひだしておかしかつたり、くやしかつたりしたことである

種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

うず潮屋で打ち上げ。残念ながらウニは売り切れ。「作」や「写楽」をいただく。

〔日記〕こもる

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  • さみしいからだを
  • ずんぶり浸けた
  • 山頭火

久しぶりに対面の会議のない日。移動せず、ひたすら家にこもって溜まっていた仕事を進める。昼頃、Skype会議。

一も金、二も金、三もまた金だ、金の力は知りすぎるほど知つてゐるが、かうして世間的交渉をつづけてゐると、金の力をあまり知りすぎる!
私の生活は――と今日も私は考へた――搾取といふよりも詐取だ、いかにも殊勝らしく、或る時は坊主らしく、或る時は俳人らしくカムフラーヂユして余命を貪つてゐるのではないか。
法衣を脱ぎ捨てゝしまへ、俳句の話なんかやめてしまへよ。
それにしても、やつぱりさみしい、さみしいですよ。

種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

なかなか仕事が終わらないが、呑みに出掛けることにする。ヒグラシで常温、平目の昆布〆。

〔日記〕大和市文化創造拠点シリウスを見学する

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  • 働らき働らき
  • 牛を叱つて
  • 山頭火

午前中、家で家事をしながら仕事。午後、江ノ電に乗って大和市へ向かう。神奈川県資料室研究会(神資研)による、「大和市文化創造拠点シリウス」の見学会だ。

6月例会のお知らせ - 神奈川県資料室研究会6月例会のお知らせ - 神奈川県資料室研究会

大和市文化創造拠点大和市文化創造拠点シリウス

1階はスターバックスと新着本、テーマ展示、気軽に読めるような雑誌。本格的なホールとギャラリー。

2階はビジネス関連の本と、有料のラウンジ(2時間100円)。コンセントを使えるのは、施設内ではこの場所とスタバの一部の席だけ。お金を払ってでも充電をしたいノマドには大変ありがたい。売上は生涯学習センターの管轄だという。指定管理者として、どんな収益構造をつくっているのだろうか。とても興味深い。

3階は児童書とキッズパーク。子どもたちの声が漏れないように、ガラスの壁で仕切られている。音楽スタジオもこの階にある。

4階は健康関連の本、新聞雑誌、文庫本、ティーンズ、漫画。図書館のメインフロアだが比較的にぎわいのあるフロアだ。お年寄りの利用が多そうな健康と新聞と、若者の利用が多いティーンズと漫画が同じフロアというのは、なかなか思い切ったゾーニングだと思う。図書館で若者者と高齢者のクレームのつけあいはわりとよく見るが、ひとつのフロアがこれだけ広ければ問題はないのだろうか?

5階は調査研究関連の本、文学。より静寂を求める人のための「読書室」が設けられている。郷土資料もこの階に。博物館のような一角になっていた。

6階は飲食のできるフリースペースと、いわゆる公民館的に会議室や和室を貸してくれるスペース。

司書として働いていた頃の仕事仲間にばったりと会う。非正規司書としての生き方について、しばし語らう。

銭といふものの便利を感じすぎるほど感じた、私は金銀そのものを、その他の以上に有難いとは思はない、貨幣は勤労の表徴として尊いのである、物の価値は物そのものにある
今日といふ今日は、私として、最も有効に金を遣つたと思ふ。

種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

藤沢で買い物。金の輪のピアスを買った。江ノ電で鎌倉に戻る。途中、Think Space で仕事をしていこうと思っていたが、ここのところ立て続けの都内での会議で疲労が激しい。サボって早めに呑むことにする。

明るい内からヒグラシ。小町通りの泥棒の話で持ちきり。常温二合、筍煮、島豆腐。釈迦で日本酒一合、豚足。ケンタッキーフライドチキンとビールを買って帰る。倒れるように眠ってしまう。

〔日記〕ボローニャ

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  • 花いちりん、
  • 風がてふてふを
  • とまらせない
  • 山頭火

空梅雨だろうか。よく晴れている。真夏のような入道雲が浮かぶ。

午前中は家で仕事。午後から再び板橋区へ。今日の会議場所は「いたばしボローニャ子ども絵本館」。

いたばしボローニャ子ども絵本館 トップページ | 板橋区いたばしボローニャ子ども絵本館

みなでタクシーで赤羽駅まで出る。解散。駅前のケンタッキーで電源が使えてありがたい。しばし仕事をする。19時半過ぎ、東京上野ラインで帰路につく。

昨日今日はまことにきゆう/\うつ/\である、酒の代りにがぶ/\茶を飲み、たび/\湯にはいつた。……
酒をやめるよりも煙草はやめにくいといふ、まつたくその通りだ、胃さへいつぱいならば、酒を忘れてゐられるが、煙草は、手を動かし足を動かし、食べるたびに飲むたびに、歩く時も寝てゐる時も、一服やりたくなつて、やらずにはゐられない。
貧しさと卑しさとは仲のよい隣同士であることを体験した。

種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

釈迦で日本酒二合、豚足、焼豚。ヒグラシで常温、島豆腐。今日はやけに酔いがまわる気がする。帰ってポテトチップスをつまんで寝る。

〔日記〕オフィス

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朝からオフィスへ。ゲラのチェック、もろもろ雑用。オフィスだと仕事がはかどらないというのが問題だ。

馬車道駅から板橋区役所を目指す。途中腹を壊して一度電車を降りる。約2時間の長旅となった。その間も仕事ができないというのは大変つらい。

会議、小さい打ち合わせ、解散。大手町から東京駅へと歩く途中、大通りが美しかったので思わず写真を撮る。

君は不生産的だからいけないと、或る人が非難したのに対して、俺は創造的だよと威張つてやつた。
けふもサケナシデーだつた、いやナツシングデーだつた、時々、ちよいと一杯やりたいなあと思つた、私は凡夫、しかも下下の下だ、胸中未穏在、それは仕方がない、酒になれ、酒になれ通身アルコールとなりきれば、それはそれでまたよろしいのだが、そこまでは達しえない、咄、撞酒糟漢め。

種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

鎌倉にたどり着いたら19時だった。あきらめて呑みに行くことにする。釈迦で日本酒二合、サーモンの昆布〆、豚足。ヒグラシで常温一合、水晶鶏、だし奴。

スルメゲソとイカフライを買って帰る。

〔アート〕金属造形作家 征矢剛(そや たけし)作品展@柴田悦子画廊を見に行く

柴田悦子画廊へ、気になっていた征矢剛さんの作品展を見に行く。征矢さんは金属造形作家。鉄で昆虫をつくる方だ。昆虫と楽器が一体化したそれは、なんと本格的なスピーカーやアンプになっているのだ。

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アンプオオカマキリ

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その場で演奏してくれた。

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ジロウも弾かしてもらった。カマキリと対話しているような感覚になるそうだ。

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テルミンカブトムシ。

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演奏できる。泣く子をあやす感じ。

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これもアンプ。

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レコードも聴けます。カミキリムシかな?

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壁掛けタイプ。目も光ります。

面白すぎてずっと見ていたい。

金属造形作家 征矢 剛 そや たけし作品展 – 柴田悦子画廊金属造形作家 征矢 剛 そや たけし作品展 – 柴田悦子画廊

2017年6月12日(月)〜18日(日)
12:00〜19:00(最終日は〜18:00まで)

www.tokyo100.com

柴田悦子画廊におじゃました帰りは、もちろん三州屋へ。

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〔日記〕大手町駅と東京駅

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  • 客となり
  • 燕でたりはいつたり
  • 山頭火

朝会議の後、おむすびを持って板橋区役所へ。ばたばたして結局食べる時間無し。16時過ぎまで会議。

都営三田線大手町駅から東京駅までが遠い。地上に出て乗り換えてみる。梅雨の中休みに、東京駅の赤レンガが良く映える。

曇、今日から入梅
山を歩いて山つつじを採つて戻る、野の草といつしよに、――花瓶に活けて飽かず眺める。
川棚名物の『風』が吹きだした(湯ばかりが名物ぢやない)。

種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

自宅に帰って仕事の続き。ヒグラシへ。常温、生ハムサラダ。

〔日記〕麦わら帽子

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  • からつゆから/\
  • 尾のないとかげで
  • 山頭火

今日も休みにしてもらった。くたりくたりとして過ごす。「かかん」で麻婆豆腐定食、生マッコリ。「さかゑ」でヘンプの帽子を買う。麦わら帽子ばかり大量に集まった。

-caravan- SHANTISHANTI~-caravan- SHANTISHANTI~

由比ガ浜の店を物色しつつ、ぶらぶらと散歩。家に戻って畳でごろごろとする。

また文なしになつた、宿料はマイナスですむが、酒代が困る、やうやくシヨウチユウ一杯ひつかけてごまかす。
やつぱり生きてゐることはうるさいなあ、と同時に、死ぬることはおそろしいなあ、あゝ、あゝ。

種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

19時から「いさむ」で待ち合わせ。ビール、鎌倉五山、fiveのピンク。和風オムレツ、焼き空豆、じゅんさい、鶏の塩麹炒め、茄子バター、エレベータなどなど。エンジンをかけてヒグラシへ。常温一合、蕪の漬け物、マカロニサラダ。ジロウにポテトチップスと変なえびせんを土産に買って帰る。

〔日記〕西武新宿線

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  • どうでもこゝに
  • おちつきたい
  • 夕月
  • 山頭火

とても体が重くだるい。エネルギーをチャージしたくて、極楽カリーをのぞいてみたが、売り切れだった。一瞬だけブックカーニバルに立ち寄る。

「ふくや」へ。十水、大山の生酒。だしやっこと、久しぶりのふくちゃんの「つったい鶏そば」。もう少しチャージしようと、めずらしくアイス最中を買う。

午後から東村山へ。西武新宿線の乗り換えがとても懐かしい。

晴、めづらしい晴だつたが、それだけ暑かつた。
朝、宿の主人が、昨夜の寺惣代会では、私の要求は否定されたといふ、私はしみ/″\考へた、そして嫌な気がした、自然と人間、個人と大地。……
野を歩いて青蘆を切つて来て活けた、何といふすが/\しさ、みづ/\しさぞ、野の草はみんなうつくしい、生きてゐるから。
つばくろがよくうたふ、此宿にも巣をかけて雛をかへしてゐる。
此宿もいろ/\の生き物を持つてゐる――人間の子、猫の子、燕の子、牛、私、そして花嫁さん!

種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

終電の少し前で鎌倉に戻る。コンビニで日本酒と鮭とば、スルメゲソを買って帰る。

〔書評〕脳を操るコツを取り入れるだけで「すぐやる」人になれる! ~菅原洋平『すぐやる!「行動力」を高める“科学的な”方法』

すぐやれる人になるには、自己管理能力を高めて「意思力」を強化しなくちゃいけないのだと思っていた。でも、根性論だけ説いてみてもうまくいかない。本書のすごいところは、自分の脳を操るちょっとしたコツを取り入れれば、自然とすぐやる人になれるという提案をしているところだ。

本書の著者は作業療法士である。専門は、脳に損傷を受けた患者のリハビリテーションだ。リハビリに用いる手法は健常者にも適用できる。ついダラダラとしている人をがらりと変える、“脳科学”から見た8つのコツが紹介されている。内容をつまみ食い的に紹介してみよう。

すぐやる!  「行動力」を高める“科学的な

すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な"方法

0. なにはともあれ睡眠が大事

すぐやる人に、睡眠不足の人はいないらしい。まずは質の良い睡眠をしっかりとることが脳には大切だ。自分がきちんと睡眠を取れているかどうかは、起床から4時間後に頭がすっきりと冴えているかどうかでわかる。早寝にシフトしたいなら、基準になっている夜の行動を見つけることが近道。多くの場合、それは「食事」「入浴(洗顔)」。基準になっている習慣の時間を前倒しすることで、自然と早く床に就けるようになる。私の場合は、「仕事を切り上げて呑みに出掛ける時間」だなぁ。

1. 「ついやっちゃう」を防止するには、使う物の定位置を決める

脳は視覚から得た情報にはさからえない。テレビをだらだら見るのを辞めたくても、うっかり電源を入れてしまったらもはや手遅れ。そんなダラダラした習慣は、リモコンを決まった位置に置くことで改善できるという。無理にテレビを見ることを自分に禁じなくていい。リモコンを定位置に置いておくと、「リモコンを取りに行く」という動作が生まれる。そうすると、ただなんとなく電源を入れるのではなく、「自分は今、テレビを見ようとしているのだな」と気がつく。それだけで変化につながっていくのだそうだ。

2. 「なかなか始められない」を直すには、ちょっとだけ次の動作を脳に見せてからやめる

仕事は区切りのいいところでやめたくなるけれど、そうすると次にとりかかるのがおっくうになる……。それを防ぐには、ちょっとだけ次にやる仕事を脳に見せてから終えること。たとえば議事録をつけるなら、会議の直後に冒頭の部分だけちょっとだけ作っておく。帰宅してから勉強をしたいなら、ノートを開いて日付を書くところまでやってみる。ちょっとだけやってからやめると、脳は「次にこれをするのだな」とスタンバイしてくれるので、だんだんとスムーズに取りかかれるようになる。

3. 仕事が遅い人を見ない。仕事が早い人を観察する

脳は他人の動作をまねる性質があるんだそうだ。残念だけど「すぐやる人」はテキパキと次の行動に移るので目に留まりにくく、のんびりとしている「すぐやらない人」のほうが視界に入りやすい。すぐやらない人を観察して文句や愚痴を言うのは逆効果。知らないうちに自分も、やらない人の動作をマネしてしまうようになる。そうではなく、すぐやる人の動作を観察して、「あの人は忙しい時でもすぐに対応してくれる」と口に出していってみることが大事。言語化されたことは脳に刻まれ、自分の行動にも反映される。

4. 雑談、大切。

脳は「自分自身が発する言葉」に反応する。特に経験から出た言葉を話すと、自分の経験が脳に浸透する。雑談は、経験的な言葉を話したり聞いたりするチャンス。

5. 「やればできるはず」と脳にウソをつかず、「ここまではできた」と小さい成功を褒める

「やればできるんだけど」と思いながら「やらない」という状態は、脳にウソをついていることになってしまう。そうすると、脳は「自分はダメなやつだ」と全否定をしてしまう。そうではなくて、どんなにささいなことでも良いから、「ここまではできた」ということを認めてあげる。

6. 「やる気になる言葉」を言語化して口に出してみる

自分を観察して、やる気になっているときのキーワードを探ってみる。たとえば、「褒められる」「負けられない」「頼られる」など。そのキーワードを口に出しながら紙に書いて、もっともしっくりくるものを探す。しっくりくるものがみつかったら、その言葉に「すぐやる」をつなげてみる。

「『褒められる』からすぐやる」
「『負けられない』からすぐやる」
「『頼られている』からすぐやる」

「自分の体がすぐに動く状態+すぐやる」という文法をつくって、口に出して言ってみる。そうすると、体がすぐ動くように変わっていく。

7. あえて手が汚れる作業をしてみる

触覚は五感のうち、唯一シャットダウンができないものだ。脳は常に、触覚を通して外の世界を感知している。触覚で感じたことを脳はほぼ無条件に信じてしまう。触覚が豊かになると、体は自然と動き出すようになる。けれど現代社会では何かに触れる機会が少ない。だからこそ、あえて手が汚れる作業をやってみる。おむすびを結んでみたり、土仕事をしてみたり、掃除をしたりしてみると、脳にスイッチが入る。爪を整えるのもポイント。爪には「パチニ小体」というセンサーが多く配置されている。

8. 「いつもと同じ」が、脳が疲れないコツ

何も考えずにできることは極力毎日同じルーティンにする。いつも通りにすることが、脳の省エネにつながる。新しい鞄や靴などは、それに適応するためのエネルギーを結構消耗している。

以上、つまみ食い的に本書のポイントを抜き出してみた。なぜそんなことが起きるのかという科学的な仕組みや、「すぐやる」ための簡単なエクササイズは、ぜひとも本書で確認していただきたい。根性だけでやる気をだそうとしていた私にとって、画期的な本だった。脳の「メンタル文法」を変えるために、国語辞典を読むという提案も、とても面白いと思う。

おすすめです。

すぐやる!  「行動力」を高める“科学的な

すぐやる! 「行動力」を高める“科学的な"方法