醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔水族館劇場〕その時からすでに舞台は始まっている

水族館劇場に裏方と役者の区別は無い。看板女優だって鉄パイプをかつぐ。公演1ヶ月前から、劇場を組み建てるために一部の役者は更地の現場に寝袋を持ち込んで泊まり込み始める(ヨコハマトリエンナーレの場合は、規模がかなり大きかったので建て込み生活は3ヶ月に及んでいる)。公演から撤収まで、ひとつ釜の飯を食い、雑魚寝をする。その時からすでに、舞台は始まっている。

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そりゃあ、アクの強い役者ぞろいだから、日々の暮らしが日常にはなろうはずもない。生活の些細なやりとりさえも、きっと本番の公演の中に滲み出ているのだろう。

新人のおれは踏み込み具合を模索し続ける。出過ぎては顰蹙を買うが、引っ込み過ぎては手持ち無沙汰だ。それにしたって、これまでずっと客席から眺めるばかりだった役者たちが、すぐ隣で普通に生きている。そのこと自体がすでに、夢かうつつかわからなくさせる。

おそるおそる、おれも本番数日前から寝袋を持ち込んでみる。仮説劇場のテントは殆ど野外だ。高速道路の高架を流れていく車も、建ち並ぶ呑み屋のネオンも、同じ空気の中にある。おれが好きなのは客席の最上段だ。夜風にさらされながら缶ビールをあける。車のライトや街の灯りが瞬くのを眺める。客席の下段からは、他の役者たちの微かな寝息が聞こえてくる。

初めて舞台に立った。水族館劇場「もうひとつの この丗のような夢 寿町最終未完成版」

7月の頭に水族館劇場の新人劇団員となり、最初の公演は9月のヨコハマトリエンナーレ。まったく演劇未経験のおれができるのは、裏方の手伝いか、ちょい役かと思っていたら、なんと主演の許嫁役だった(そしてそのキャストは、本番3日前に決まった)。

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お稲を演じる増田千珠(左)と、源静香を演じる野原海明(右)。(撮影:干場安曇)

源静香。火山局のお嬢様で、泰一族の御曹司である竜一郎の許嫁。戦場で死んだはずだった竜一郎は復員を果たしたものの、別人格になってしまった。もしかして竜一郎は、まったくの別人にすり替わってしまったのではないか? 疑惑を抱いた静香は名探偵明智小五郎を雇い、その謎を明かそうとしている。

台本に記されているのはここまで。静香がどんな人間であり、どんな人生を生きてきたのかはわからない。それはたぶん、静香を演じるおれ自身の纏う雰囲気や、おれが歩んできた人生と混じり合うことで、はじめて一つの人格となり立ち昇ってくるのだろう。

公演前半では、雇った探偵に迫られても拒絶する、びくびくと怯えている様子を演じていたが(初舞台で実際怯えていたのもある)、それではどうもしっくりこない。静香はどんな人間なのだろうか?

もっと嫌な奴になのかもしれない。たぶん歳は20代後半くらい。男好きで、けっこう遊んできた。もともとお嬢様で何不自由なく暮らしてきたがその欲は底なしに深く、泰一族の財産をも狙っている。竜一郎との婚約は財産目当てではあるが、その容姿にも惹かれている。一方で、他の男に言い寄られれば嬉しく、誘ってみたりからかってみたり。きっと冷たくなった竜一郎に相手にされず淋しいのだろう。

そういえば、「むちむちしたやらしいおねえさん」という役回りは、今の水族館劇場にちょうど空いていたポジションのようにも思う。エロ路線を突き進めばいいのだろうか。


水族館劇場「もうひとつのこの世のような夢」前芝居

顔見世(プロローグ)の後、舞台の上で最初に発する台詞は、「あーら、明智さーん、おはなしになってぇ」。

「全然駄目。明智を圧倒するくらいの勢いでやって」「エロが足りない。恥ずかしがってる場合じゃないぜ」演出家や先輩役者にダメ出しをもらう。その成果か、「静香さまは回を重ねるごとに妖艶になるね」という感想を頂いたときには心の中で思わずガッツポーズをした。でも、わかってる。まだまだ全然、初心者であることは。

「芝居は毒薬」という劇中の台詞がある。本当にそうだと思う。「なんでこんなに辛いことを続けているのかっていつも思うけど、何故だかやめられないんだよね」と先輩役者もこぼしていた。おれも泥沼(?)にすっかり足をとられてしまったのだろうか。 

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野外アングラ劇団「水族館劇場」の新人団員になりました

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(撮影:大町ジロウ)

水族館劇場という劇団を知ったのは2011年の秋。一度は活動休止した劇団が、3.11後に蠢き始めた時だ。ヒグラシ文庫の裏方スタッフとして参加し、その冬には、さすらい姉妹という水族館劇場から派生した路上芝居ユニットの公演も観に行った。何も知らずに行った寿町は異世界で、一歩路地を入ったところからもう舞台装置みたいだと思った。でも、汚れた服でよろよろと歩き、地べたに座って酔い潰れているおっさんたちの街は現実だ。冬を越せずに倒れていく人もいるだろう。そんな死との近さや極限状態もみんな現実だ。

[http://mia.hateblo.jp/entry/2017/04/23/000000mia.hateblo.jp

そんな光景をとても遠い世界のように感じていた。避けて通るべき場所。でもそこに棲まうのは、あまりにも人間らしい人々だ。芝居なんて観たって腹が膨れるわけじゃない。それでもなけなしの千円札を役者に握らせる。生きて年の瀬を越えられる互いを確認し合うように、冷えきった蜜柑が汚れた手から手へ受け渡される。

それから6年が経ち、おれは公共サービスのコンサルの仕事をして食うようになった。「誰もが情報にアクセスできる場所を」「誰もが気軽に立ち寄って言葉を交わせる場所を」なんて言いながらと図書館をつくったりしているが、そうして生み出された公のサービスは、寿町で正月を迎える人々の元には届くのだろうか。いや、おそらく彼らの存在は、社会の中に始めから無かったかのように忘れ去れていくのではないか。

「海明ちゃんが舞台にばぁぁーん!と出てきたら、面白いじゃなーい?」
水族館劇場のプロデューサーであり、ヒグラシ文庫の店主である中原蒼二が酔っ払ってそう言うのでおだてられて、ちょうど一年前に古本遊戯 流浪堂で開催された報告会「終わりなき銀河に旅立つために」に参加した。繰り返し語られる「公共は敵だ」という言葉が、グサグサとおれに突き刺さる。綺麗事ばかり並べ立てて仕事をしている自分を責め続けられているようだった。

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たぶん、この報告会に出なければ「ちょっと舞台女優をしてみたいだけ」という興味本位で終わって、うっかり劇団員になることはなかっただろう。公共施設コンサルという自らの仕事へのアンチテーゼみたいにして、おれは舞台に立ってみたいのだ。芝居に命をかけている役者陣の中に、おれのようなのが混ざるのは失礼だろうか……と逡巡する暇も無いくらいに、すべてのタイミングが奇妙に絡み合い、気がつけばすんなりと新人劇団員になっていた。初舞台は6年前に衝撃を受けた寿町、その場所である。

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お稲を演じる増田千珠(左)と、源静香を演じる野原海明(右)。(撮影:干場安曇)

物語は新宿は花園神社で打たれた「この丗のような夢・全」を上書きするかのように進む。寿町の磁場を受けて、台本は日々じわじわと変化していく。台詞を覚えるのが大変である……。

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そんなわけで、横浜は寿町でお待ちしております。後半戦は2017年9月13日(水)から9月17日(日)まで。

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(撮影:鎌倉幸子)

もうひとつの この丗のような夢 寿町最終未完成版

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臺本+遅れ+総監督 桃山邑

それは亡霊なのか
消滅をくりかえす波打ち際の砂もようのように
終わりなき追憶の対話をもとめ
星々の叫びとささやきがさかしまに蜂起する
水夫がまどろむ廢園のまぼろしとともに

横浜寿町労働センター跡地 特設野外儛臺「盜賊たちのるなぱあく」
2017年9月1㊎2㊏3㊐4㊊5㊋ 13㊌14㊍15㊎16㊏17㊐
全公演 夜6時30分 劇場外顔見卋(プロローグ)スタート 
全席自由期日指定 上演時間 約120分

yokohama-sozokaiwai.jp

〔日記〕浜松市天竜区で図書館のワークショップをひらく

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  • つゆけくも
  • せみのぬけがらや
  • 山頭火

浜松へ向かう。小田原駅で、新横浜から岡本さんと岡崎さんが乗り込んだ新幹線が追い越していくのを見送った。今日は浜松市での2回目のワークショップだ。今回は中山間地である天竜区をグループでまち歩きする。担当した班は、天竜区に住まれている方と、天竜区には初めて来たという県外出身の女子大生のチーム。天竜区在住の館長も張り切って案内をする。

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本田宗一郎ものづくり伝承館。ここにカブでホンダのファンたちが集まることを「カブ主総会」という(館長談)。

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古い蔵をギャラリーとして復活させている。運営はNPOとのこと。

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連鶴名人の作品展にあわせた、折り鶴アクセサリー。

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歩いてみて気づいたことを地図に書き込んでいく。このまちに図書館ができることはなんだろう?

真夏のまち歩きで熱中症が心配されたけど、みな元気に帰還。
「天竜、おもしろい! 1時間じゃ全然歩き足りない!」
という女子大生の感想を、在住の参加者がニコニコと聞いている。それにしても、あらためて川の美しいまちだと思う。散歩してみると確かに楽しい。しかし、歩いている人の姿はほとんど見かけない。

「元気なまちは、人が歩いているまちだ」と岡本さんが言う。「車社会だから」と車で訪れることだけを考えて施設づくりをしてしまうと、そのまちは廃れていく。

にこやかに2回目のワークショップも完了。3回目には参加しない予定だった方も、新たに申込をしてくれたようだ。ありがたい。

今日も私はいやしい私を見た、自分で自分をあはれむやうな境地は走過しなければならない。
子供はうるさいものだとしば/\思はせられる、此宿の子はちよろ/\児でちつとも油断がならない、お隣の子は兄弟妹姉そろうて泣虫だ、競争的に泣きわめいてゐる、子供といふものはうるさいよりも可愛いのだらうが、私には可愛いよりもうるさいのである。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

熱海経由で鎌倉に戻る。ヒグラシで一杯ひっかけてから帰る。

〔日記〕新しい施設をまちから考えるワークショップ

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  • あつさ、かみそりが
  • ようきれるかな
  • 山頭火

須賀川の二日目は、ワークショップの仕事。新しくつくろうとしている文化施設について、まち歩きを通して考えてもらう。美術部、文学部、新聞部の高校生と、その地域に住む大人たちとで班をつくってもらった。炎天下のまち歩きに備えて、お水と塩分のタブレットをたくさん用意してもらう。メイン会場は、新市庁舎のその名も「ウルトラ会議室」。

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曇、しかし朝蝉が晴れて暑くなることを予告しつゝある。
山へ空へ、樹へ草へお経をあげつゝ歩かう。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

東北とはいえ、ものすごく暑い。まち歩きはコンパクトに、1時間弱におさえる。

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蔵をのぞき込んでみる。

帰ってきてから、みんなで見てきたものを地図に書き込む。

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この世代差で話し合うのが醍醐味。

いろんな世代や立場の人とまちを歩くと、よく知っているはずの場所でも新しい発見がある。まちの魅力や課題を、どんなふうに新しい施設に関連づけて、活かしていくのか? ハコをつくっておしまいではない、まち全体を変えていく公共の場とはなんだろうか? 班で話し合ったことを全体発表する。

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各班、高校生が発表担当をかってでた。

「楽しかった、また参加したい」という、うれしい感想をたくさんいただいた。すがすがしく帰路につく。

ヒグラシへ。
「あれ? 沖縄に行ってたんじゃなかったっけ」
「沖縄からの福島帰り。そして明後日は浜松」
という会話を何度か繰り返す。

〔日記〕図書館をつくる現場

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  • 蠅取紙の蠅が
  • まだ鳴いてゐる
  • 山頭火

沖縄から戻ってきたと思ったら、ただちに須賀川へ。今回は久しぶりに一泊する。午後の会議の後、骨組みが立ち上がってきた市民交流センター「tette」の内部を見学させてもらった。このところ、建設現場におじゃまする機会が何故かとても多いと思う。

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ホテルウィングインターナショナル須賀川から見た「tette」。

ホテルで少し仕事してから、李さんと焼き鳥のはらだへ。

人間は(いや、あらゆる生物は程度の差こそあれ)自分の好きなものを中心として(或は基本として)万事万物を観察する(または換算する)、それが自然でもあり真実でもある、といふ訳で、私は酒を以てすべてを観る、山を眺めては一杯やりたいな、野菜のよいのを見るとしんみり飲みたいなあと思ふ、これだけあれば一合やれる、これで一本買へるなと考へる、笑はれても実際だから仕方がない。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

散々食べて苦しくなって、ホテルへ戻る。酔っ払って、ライトアップされたゴモラを激写する。

〔日記〕北中城村、沖縄市、北谷町の図書館をめぐる

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腹を壊して苦しがりつつ、バスターミナルから北中城村を目指す。「あやかりの杜」にある図書館を見に行くのだ。あやかりの杜図書館は、「NPO法人あやのふぁ」が指定管理者として運営している。地元の子どもたちと一緒につくった特集コーナーが見事だった。村の起業支援の紹介とともに、店や事業の始め方の本を並べるなどの工夫も素晴らしい。城(ぐすく)にちなんで、日本の城、沖縄の城、世界の城コーナーがあるのも面白い。高台に位置し、閲覧席からの眺めが絶景である。東にも西にも海が見える。とても羨ましい。

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喫茶室 Cafe &BBQ Rainbow Terraceからの眺め。

「喫茶室 Cafe &BBQ Rainbow Terrace」は、図書館を含む複合施設の2階にある。名前の通り立派なテラスが魅力(室内席もある)。図書館カードを見せると割引になるらしい。

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あやかりの杜エントランスのシーサー。鼻息荒い感じ。

あやかりの杜-沖縄県北中城村の図書館機能を有する生涯学習施設-あやかりの杜-沖縄県北中城村の図書館機能を有する生涯学習施設-

タクシーで沖縄市へ移動。ステーキハウス四季で昼食。目の前でステーキや付け合わせを調理してくれる。

炎天下に炙られつつ、旧コザ市地区を歩いて新しい沖縄市立図書館を目指す。もともとは「コリンザ」という商業施設だったビルを市が買い取って、図書館とホールにしているそうだ。

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見学も終わり、まだ少し時間があるけれど、どうしよう……と思っていたら、ちょうどお休みだった呉屋姐さんが車を出してくれるという。甘えて、北谷町立図書館と、北谷町公文書館へ連れて行ってもらう。最後には空港まで送ってもらった。ありがたや。

晴、いよ/\天候もきまつたらしい、私の心もしつかりしてくれ、晩年の光を出せ!

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

空港の「そば処 琉風」で早めの夕飯。おすすめされた「空港食堂」もちらりとのぞいて見る。こちらはまた次の機会に。

〔日記〕県立図書館の骨組み

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  • 穂すゝきへ
  • けふいちにちの
  • 泥を洗ふ
  • 山頭火

那覇へ向かう。羽田の朝はうどんと決めている。

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那覇空港からゆいレールで県庁前へ。宮古そば「どらえもん」で、どらえもんそばをいただく。てびち、ソーキ、三枚肉の全部のせだ。近くの喫茶店でしばし仕事。ランチタイムで賑わっているけれど、沖縄タイムなのでお店の人が急ぐことはないのであった。それでいいのだ。

タクシーで沖縄県立図書館へ向かう。打ち合わせ。またタクシーで旭橋へ。建設中の図書館が入る巨大なビルを眺める。

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チェックインして少し仕事。19時に待ち合わせの店へ。なんとまだ日が沈まない。沖縄の夜はこれからだ。

晴れて暑い、ぢつとしてゐて汗がにじみでる、湯あがりの暑さは、裸体になることの嫌いな私でも、褌一つにならずにはゐられない。
昨日の行乞所得の残金全部で切手と端書とを買つた、それでやうやく信債の一部を果した。
酒が好きなために仏門に入るやうになり、貧乏になつたために酒毒から免かれてゐる、世の中の事は変なものであるわい(酒のために自己共に苦しみ悩んだ事はいふまでもないが)。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

離島経済新聞の鯨本さん、多和田さんと一献。泡盛常磐。眠くて二軒目は断念して、コンビニでカップヌードルを買ってホテルへ戻る。

〔日記〕所沢の果て

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7時に所沢の果てへ集合。車を運転してきた人たちは、現場を4時に出たのだと言う。鎌倉からだと、始発で向かっても到着は8時になってしまった。4トントラックに荷物を積み込み、伴走する車で寿町へ。

簡単に食事をして少し休憩。ふたたび荷下ろしの作業。さらに再び車で所沢の果てへ。暗くなるまでトラックへ積み込み作業。解散。

晴れた、晴れた、お天気、お天気、みんなよろこぶ、私も働かう、うんと働かう、ほんとうに遊びすぎた。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

泥と埃にまみれた服。駅まで送ってもらう。
「野原さーん、どう? こんな泥まみれになって、肉体労働ばっかりで」と星絢が言う。
「実は、わりと楽しいと思ってます」と答える。

泥まみれのまま呑みに行く。肉体労働者のことを考える。

〔日記〕現場

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午前中は家で仕事をして、昼から出社。簡単に打ち合わせ、その後作業。

16時に寿町の現場へ入る。少しだけ足場を運ぶ作業に参加する。水族館劇場の打ち合わせ、解散。

一切憂欝、わづかに朝湯が一片の慰藉だ。
たゞ暑い、空つぽの暑さだ。
南無緑平老菩薩、冀はくは感応あれ。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

ヒグラシ文庫へ。おれが特集を書いたLRGが飾られていた。

〔日記〕板橋、大和

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上板橋へ。早くついたので、蕎麦とカレーの朝飯。第三中学で校長先生に挨拶をし、さくっと解散。大和へ向かう。

駅前のイタリアンカフェでスパゲッティ。高崎の大盛りパスタに慣れてしまうと、都心の上品なパスタが物足りなくなってしまう。

シリウスで打ち合わせ。藤沢に出て、江ノ電で稲村ガ崎へ。Think Spaceで仕事。

曇、まだ梅雨模様である、もう土用が近いのに。
今日も、待つてゐる手紙がない、旅で金を持たないのは鋏をもがれた蟹のやうなものだ。手も足も出ないから、ぼんやりしてる外ない、造庵工事だつて、ちつとも、捗らない、そのためでもあるまいが、今日は朝から頭痛がする。……
山を歩く、あてもなしに歩きまはつた、青葉、青葉、青葉で、ところ/″\躑躅の咲き残つたのがぽつちりと赤いばかり。
めづらしく句もない一日だつた、それほど私の身心はいぢけてゐるのだらうか。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

江ノ電鎌倉駅へ。水玉の旗がはためいていた。

〔日記〕タスクシュート時間術を始めてみる

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ふと目に留まった本をKindleで買ってみる。佐々木昭吾、大橋悦夫共著の『なぜ、仕事が予定通どおりに終わらないのか?~「時間ない病」の特効薬!タスクシュート時間術』だ。

ARGでは、会議予定だけでなく、作業予定などの「自分との約束」もGoogleの共有カレンダーに入れることとしているけれど、おれはこれがとても苦手だった。今日やることをガチガチにカレンダーに入れておくと、あまのじゃくな気持ちが湧き上がってきて、どうしても他のことをやりたくなるのだ。自由を規制されるというか。しかし本書は、自分の行動をすべてスケジュールで管理することは、自分自身を縛ることではないという。そして必ずしも、あらかじめ決めた予定をその通りにこなさなくてはいけないと思う必要もない。

計画は、カーナビみたいなものだ、と本書は言う。目的地までのルートや、到着予定時刻が案内されるけれど、それはあくまで目安。絶対にその通りに運転しなくちゃいけないわけじゃない。一日の計画も、それと同じようなものであるらしい。

とはいえ、Googleカレンダーだけで自分のスケジュールを管理していると、計画と実際の行動がずれたときにいちいち変更するのが面倒くさい。うまいツールがないかとおもったら、本書に触発されて生み出された「たすくま」というiPhoneアプリがあるのを知った。

わりと良いお値段のアプリだが、解説書はお手頃価格で手に入る。

『たすくま「超」入門』『たすくま「超」入門』

さっそく使い始めてみる。まだ不慣れなので、書評とアプリの解説はまた改めて。

雨、雨、雨、何もかもうんざりしてゐる、無論、私は茶もなく煙草もなく酒もなくてぼんやりしてゐるが。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

今日は休みにするつもりだったが、フォローでところどころ仕事する。福西くんに髪を染めてもらう。この夏は赤だ。

〔日記〕別府市の新しい移動図書館車に会いに行く

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  • 長かつた旅もをはりの
  • 煙管掃除です
  • 山頭火

朝から旅館でSkype会議。その後、別府市内でもう一本会議。BEPPU PROJECTの清島アパートを案内してもらう。

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幸せの黄色いケロリン

清島アパート清島アパート

別府市立図書館の新しい移動図書館車を直接見に行く(ARGがデザインの支援を担当しました)。デザイナーは大岡寛典さん、イラストは宇田川一美さんによるもの。たぶん、ここまで本気で移動図書館車のデザインをしたのは別府市が日本で初めてだろう。

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arg-corp.jp

鉄輪に移動してひょうたん温泉でしばしくつろぐ。お昼には別府名物とり天の定食をいただく。ひょうたん温泉には何度も来ているが、晴れている日に来られたのは初めてだ。中庭の「縁起の湯」を飲んでみる。このお湯を飲むと、「8」の付く日に縁起のいいことが起きるらしい。次の「8」の付く日は誕生日だ。

空港まで行く途中に、新しい図書館を建設中の杵築市へ立ち寄る。城下町の風情の残る情緒あるまちなみだ。大分空港へ。少し早い飛行機で羽田へ戻る。

ありがたい品物が到来した、それはありがたいよりも、私にはむしろもつたいないものだつた、――敬治君の贈物、謄写器が到来したのである、それは敬治君の友情そのものだつた、――私はこれによつてこれから日々の米塩をかせぎだすのである。
今夜も千鳥がなく、虫がなく。……

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

ヒグラシ文庫へ。縄のれんをくぐったら、「おかえりー」の声があちこちから上がった。ありがとう、ただいま。

〔日記〕竹田市立図書館を見学する

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  • 旅の法衣が
  • かわくまで
  • 雑草の風
  • 山頭火

熊本を出立し、阿蘇市へ向かう。鎌倉さんの運転で、霧の中を突き進む。

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前が見えない。

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カルデラが美しい。

阿蘇市阿蘇図書館を見学してから、山越え。うねうねとした道を進んで別府に向かう。どうにか辿りついて、とり天発祥の店で昼食。宿の美味しかった朝ご飯がまだ胃に残っている感じだったので、とり天ではなく別府冷麺をいただいた。打ち合わせも無事終えて、開館したばかりの竹田市立図書館へ向かう。

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天井の白いメッシュは、雲をイメージしているのだそうだ。

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犬(?)型のテーブル付き椅子。可愛い。

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おはなしひろばのカーテンは独特な布。

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ここで子どもたちが寝っ転がって本を読んでいた。良い風景であった。

開館前に外からのぞいて見たときには、あまりにも背の高い書架が心配だったが、足を踏み入れてみるとほどよく「森」の感じがする。書架の林を探検しているような。そして、風がすうっと流れるような配置。なんて居心地の良い図書館なんだろう。

設計は、塩塚隆生アトリエ。

塩塚隆生アトリエHOMEPAGE_TOP塩塚隆生アトリエ

よく見ると、書架の上に人形がちらほらと立っている。竹田市内に拠点を置くアートユニット「オレクトロニカ」の作品なんだそうだ。

shioatl.exblog.jp

すぐ隣には、旧図書館が建っている。旧図書館時代から世話をしていた地域猫が、ゆったりと新図書館の駐車場を歩いて行った。猫を大切にする図書館はいい図書館だ。

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手前が新図書館の駐車場。職員が自力で引越作業をされたそうだ。

別府に戻り、第7回となったカボスの会へ向かう。同行の岡本さんと鎌倉さんが、まるでおそろのようだったので後ろから激写。

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こいのぼりへ。念願のとり天とりゅうきゅうをいただく。

また不眠だ、すこし真面目に考へだすと、いつも眠れなくなる、眠れなくなるやうな真面目は嘘だ、少くとも第二義的第三義的だ。
しかし不眠のおかげで、千鳥の声をたんまりと聴くことができた。
どこかそこらで地虫もないてゐる、一声を長くひいてはをり/\なく、夏の底の秋を告げるやうだ。

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

二次会は演歌カラオケスナック。おおいに歌い尽くす。解散して、別府タワー脇のコンビニへ。タワーに「ただいま」とつぶやく。

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カップラーメンを食べてぱったりと就寝。

〔日記〕図書館総合展2017フォーラム in 熊本 に出展する

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  • 夕焼うつくしい
  • 旅路もをはり
  • 山頭火

開館前にくまもと森都心プラザに着いて、開館中は撮れない図書館の中の写真を撮る。

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『年刊 田原坂』というフリーペーパーを発見。このレベルの高いイラストは、なんと市の臨時職員が手がけたものなのだという(わりと好みである)。

田原坂資料館(植木町)が展示を一新 : 熊本 : おでかけ - 47NEWS 田原坂資料館(植木町)が展示を一新 : 熊本 : おでかけ - 47NEWS

図書館総合展2017フォーラム in 熊本」の出展準備。重い荷物の運び出しに燃える。

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設営の済んだARGブースと、くつろぐ社長。

なかなかよい売上。ありがたい。昼は再び熊本らーめんをいただく。博多の豚骨よりも、少しあっさりとしているらしい。本場の博多らーめんを食べたことがないのでよくわからない。

ほんとうによくふると、けさはおもつた、頭痛がしてぼんやりしてゐた。
夢精! きまりわるいけれど事実だから仕方がない、もつともそれだけ vital force が残つてるのだらう!

[種田山頭火 行乞記 (三) 一九三二(昭和七)年]

撤収後は、市街地のライブハウスでレセプション。

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協賛企業プレゼンの猛者たちが、今宵は「グビリオバトル」で旨い酒を熱く紹介するのだ。

二次会へ。眠くて眠くて、途中で寝そうになる。