休みの日でも目覚めていたい
- 作者: 吉本ばなな
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/09/30
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 18回
- この商品を含むブログ (79件) を見る
昼過ぎに目が覚める。休みの日でも、明るいうちに目が覚めるようになったのは仕事を始めてからだ。それまでは気がつくと日が沈むまで熟睡していた。早起きの習慣がついた今でも、昼過ぎに起きてもまだ眠い。うっかりすると、二度寝しそうになる。
二十時間寝てしまったときは、流石にうんざりした。このまま白河夜船のように、彼岸の果てまで眠り続けたらどうしようかと思った。 身体の疲れは、一晩ぐっすり眠ればとれる。でも、心の疲れは対処に困る。ひたすら眠っていたいときは、心が不安定なときだ。
でも、驚くほど眠った後は、うっすらだが霧がはれていくのがわかる。そうしてある日突然ガバッと飛び起き、普段の倍くらい元気になる。
昼間はアルバイトをしているので、必然休みの日に授業の課題をこなす事になる。今日はシナリオの宿題に取り掛かった。夕立を眺めながら、原稿用紙の升目を埋める。やはり、文章を書くには原稿用紙がいちばん気持ちがいい。
晩に立ち寄った恋人に添削をしてもらう。どうやら私は、説明し過ぎてしまうようだ。想像の余地をもう少し残して置かなければ。書き直そうと思うものの、自分が書いたものをもう一度読み返すのは勇気がいる。書きあがった瞬間は「傑作!」と思うのだが、少し時間が経つと最初の一行すら読むのが嫌になる。作品を互いに批評しあう授業の時間は、どこか隅の方で小さくなっていたいと思う。