男の孤独 ~ 佐野洋子 「がんばりません」
確かこの本は、浪人時代に読んだはずなのだ。でも、憶えていない。なぜか、解説のおすぎさんの文章だけを覚えている。やはり他のことで頭がいっぱいのときに、現実逃避のようにして本を読んでも駄目なのですね。
- 作者: 佐野洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/12/26
- メディア: 文庫
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佐野洋子さんは絵本作家。「百万回生きた猫」なんかが有名だ。子どもだけに読ませるなんて贅沢。成人してからも何度も読みたい絵本。
- 作者: 佐野洋子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1977/10/19
- メディア: 単行本
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絵や物語ばかりでなく、エッセイも随分と魅力的だ。読み終わってしまってなんだか寂しい。
男たちは口をそろえて「何てったってオートバイの魅力は男の孤独感ですよ。人生そのものですよ」と云うのである。
「えっ」私は仰天した。[中略]
いいねェ。男の孤独って、ひた走っちゃうんですね。ひっくり返ったら死ぬかも知れないなんて悲壮感持ってうっとりしちゃうんですね。風景は右や左に責任のとり様もなく美しく失われていく。
女の孤独ってのは一つ所にじっとうずくまっている孤独である。窓から見える風景は変わらない。そこで地面に根を生やして動けない孤独である。母を待ち子を待ち続け死を待つ孤独である。*1
そうかぁ、男の孤独ってのは、爽快だなぁ。羨ましいなぁ。けれど一所に根をはる女の孤独も、捨てたもんじゃないよ。