大和和紀 「あさきゆめみし 源氏物語 6」
臣下として最高の位に上り詰めた光源氏と、内親王である正妻、女三宮との間に生まれた子。この上ない身分、美貌に生まれつきながら、薫の心には晴れないものがある。自分を生んですぐに出家してしまった母。光源氏とは似ていないらしい己の顔。自分は一体誰の子なのか。自分は一体何者なのか。
- 作者: 大和和紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/07/31
- メディア: 文庫
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若い時分からまるで世捨て人のように出家することばかり考えていた薫。憧れて通いつめていた俗聖・八の宮の屋敷で、彼はようやく己の出生に隠された秘密を知ることとなる。
決して許されるはずもなかった、激しい一つの恋。その果てに生まれた彼が恋に興味を持てないのは何の因果か。ただ一人心動かした人すらあっけなく逝ってしまう。
光源氏の若き日の晴れやかな恋の駆け引きとは裏腹に、薫の恋は山奥で静かに、痛々しく散る。
そして出会う浮舟。亡き大君の映し身。