赤瀬川源平 「トマソン大図鑑 無の巻」
文章を読まずに、ただぱらぱらとページを捲っても素人には何が面白いのかさっぱりわからない。しかしひとたびそこに書かれた説明を読めば、抱腹絶倒、もう引き返すことは不可能である。
- 作者: 赤瀬川原平
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1996/12
- メディア: 文庫
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存在意義の無いモノ。でも確かにそこに存在しているモノ。しかも絶対必要ないのに、補修工事なんかされていたりする。上がって降りるだけの無意味な階段。入ることのできない塗りこめられた門。ゴミにより近く、芸術を超えたものとして、最初それらは「超芸術」と呼ばれていた。その後、元ジャイアンツ四番のゲイリー・トマソン選手から名前をとり、「トマソン」と呼ばれることになる。
つぼにどんぴしゃにはまり、一人で笑い転げたのがp.44-45の「非情階段」だ。二階にドアがある。そこから外階段がついている。しかし、その階段は途中でぷっつり途切れているではないか! もし初めてこの家を訪ねた人が、考え事などして空を見上げながらこのドアから出てきたらどうだ。数段降りたところで足を踏み外し、非情にも地上に落下……。ああ、非情階段。
この本を読んでからというもの、街中が現代芸術の宝庫に見えてきた。