醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕それだとちょっとハイミスな感じ

  • 風が吹きとほす
  • まへもうしろも青葉
  • 山頭火

酒はよいかな、とてもよい眠りだつた、そしてよい眼覚めだつた。

種田山頭火 行乞記 大田


陰暦水無月七日、晴れ。

フィリクションの青インクが、まだかなり残っているのに出なくなってしまった。
振ったり、濡らした紙でペン先を溶かしてみたりしたが、駄目である。

葬儀まで日が空いてしまったけれど、日常の雑事をこなしていく気にはなかなかなれない。

それでもiPhoneで書いていた日記をなおし、小説を少し書く。

竹扇に行ってみたけど臨時休業。
オクシモロンでエスニックそぼろカリーをいただく。
ここのところ、コンビニのおにぎりばかりを食べていた。
きちんとした料理は体にしみわたる感じがする。

久里浜へ。
葬儀場で義母さんにおまいりと打ち合わせ。

イオンに行って喪服を買った。
実母の葬儀では、母の喪服をそのまま着ていたから、自分の喪服を購うのは初めてだ。

ワンピースだけど、ジャケットっぽく見えるタイプを選ぶ。

「それだとちょっとハイミスな感じですよ」

と店員さんに、よりワンピースっぽいフリルのついたものを勧められる。

「お若いからこちらのほうがいいですよ」
「あ、いや、そんなに若くもないんです……」

ジロウにも見てもらって、やっぱり「ハイミス」なほうを選んだ。
50代の喪主の妻なので……と心の中でつぶやく。

大船に出て、店に臨時休業の貼り紙をする。
浜船で日本酒。
浜船のご主人も、この2月に亡くなったばかりなのだそうだ。

釈迦、ヒグラシと巡って帰宅。