醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕長い文通

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  • ハガキ一枚持つて
  • 月のあるポストまで
  • 山頭火

この頃はすごい勢いで本が読める。そのせいか、すごい勢いで本を買ってしまう。思い立ったそのときに買える電子書籍がありがたい。

ロジャー・ハミルトンの『才能は開ける』を読んでいた。少しずつ段階を踏んで、「情熱を見つける」ところまでやってきた。

才能は開ける

才能は開ける

「行動の自由」を活用して、自分と同じ情熱を持ち、自分が一緒に働きたいと思う人のうち、すでに有益なフローの中にいる人を探すことに時間を使うこと。

フローとは、豊かな流れのこと。自分の情熱に近い人で、活躍していて、いつか一緒に何かやってみたいと思っていた人たちをリストに書き出してみる。学生時代からずっと憧れていたライターさん。好きだった雑誌をつくっていた編集者。共通の友達は多いけれど、まだ直接会ったことのないウェブメディアの人たち。インタビューを取りまとめた本を何冊も出している憧れの人。クリエーターを新しいかたちでサポートし始めた編集者。創作したものを発表してお金を受け取る仕組みに、だれもが挑戦できるようにプラットフォームをつくりあげた人。

会ったことはあっても、恐れ多くて一言二言しか話のできなかった人ばかりだ。そんな憧れの人たちと、じっくり話し合えるだけの中身や言語を持つ自分でありたいと思う。

どうも腹工合がよろしくない、腹工合のよろしくないほど飲み食ひするとはあさましい!
しかし、麦飯と梅干と松葉粉とがその腹工合をよろしくしてくれた。
ここに寝てゐて安養浄土を感じてゐる。

種田山頭火 其中日記 (七)

そんなことを考えながらいつもの飲み屋に立ち寄ったら、一番最初にライター仕事を発注してくださったメディアの方と偶然行き会った。メールでコンタクトはしていたけれど、直接お話するのは初めてだ。長年の文通相手にようやくようやく会えたような気分だ。
「野原さんの文章はほんとうにすごい、天才だと思う。僕はずっとファンです」
ああ、なんて嬉しい言葉なんだろう。文章に命をかけている人間にとって、それは何よりの褒め言葉だと思う。