醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

白濁(三十二)

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タケシさんのつかんだグラスの中で氷が溶けて、カラン、と鳴った。

「誰か待ってるような顔して、ちょっと上見上げて、そのくせ次から次にがんがん呑んで。そのうち倒れるんじゃないかと思ったら本当に倒れるから、『しめた!』って」

「うわあ、最低」

 鼻にシワを寄せて言うと、タケシさんはからからと笑っていた。



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