醒メテ猶ヲ彷徨フ海

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

越えてしまった死

私の従姉は二十二歳を目前にして死んだ。白血病に似た、原因不明の難病だった。もう十年以上も前のことだ。

まだ元気だった頃、「すいかの名産地」という童謡を唄ってくれた陽気な声を思い出す。棺の中で青白く、目を閉じていた顔も。蝋人形のように透き通って見えた。美しさに息をのんだ。

たくさんの薬を飲んでいたから、彼女の骨はもろかった。箸で摘んで骨壺に入れるのに難儀した。薬のせいで、桃色や山吹色に染まった、色鮮やかな骨だった。

平松洋子さんの『おとなの味』の中の一編、「骨の味」を読んで従姉の最期を思い出したのです。

おとなの味

おとなの味

もう、従姉の歳を幾年も過ぎてしまったのだ。とてもお姉さんに見えた二十一の従姉を。