〔日記〕アルコールがなくては私の生活はあまりにさびしい
九月十九日 晴、小林町、川辺屋(四〇・中)
いかにも秋らしいお天気である、心もかろく身もかろく午前中三時間、駅附近を行乞する、そして十二時の汽車で小林町へ、また二時間行乞。
種田山頭火 行乞記 (一)
此宿は探しまはつて探しあてたゞけあつてよかつた、食べものは近来にないまづさであるが、一室一燈を占有してゐられるのが、私には何よりうれしい。
夜はだいぶ飲んだ、無何有郷を彷徨した、アルコールがなくては私の生活はあまりにさびしい、まじめですなほな私は私自身にとつてはみじめで仕方がない。
二〇一六年の九月十九日は雨である。台風が接近しているせいか、このところの天気予報はいつも雨だ。鬱々としているのはそのせいだろうか。朝になっても起きる気にならず、昼過ぎまで薄暗い空を見ては、眠りの中に引きずり込まれる。こんなことをしている場合ではないのにという焦りに心臓のあたりがきゅうきゅうと痛む。
風邪もあまりよくならない。目覚めた瞬間から体の痛みにのたうつ。前日に入れたスケジュールを諦める。昼からワインを流し込み、考えるのやめにする。
でもおれは知っている。その鬱のすべてが、小説が上手く書けないせいであることを。