醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕この施設、設計されたんでしたっけ

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けふは雨で散々だつた、合羽を着けれど、草鞋のハネが脚絆と法衣をメチヤクチヤにした、宿の盥を借りて早速洗濯する、泣いても笑つても、降つても照つても独り者はやつぱり独り者だ。

種田山頭火 行乞記 (一)


葉月十六日、土砂降りの雷雨。

自分がコンサルをした、新しい施設をこっそり見に行く夢を見た。木造平屋の凝った建築で、子どもの遊び場が中心にある。一時保育もできるショッピングモールみたいな趣だ。

1階にはモビール屋のテナントが入っていた。世界中のありとあらゆるモビールが高い天井からぶら下がっている。けっこう大きいのもある。ブルーノ・ムナーリのみたいなのとか。

モビールといっても、上からぶら下がるだけじゃないのだ。最近では、下から風力か磁力かで立ち上がるものもある(夢の中の話だ)。クマの頭がついているモビールは、ときどき思い出したように立ち上がる。「これがかわいいんですよね」と、店員のおねえさんが抱きついている。

おねえさんはショートヘアで、赤いワンピースを着ていた。仲良くなって、一緒に出かけることになった。キッズパークのほうへ歩いて行く。船上みたいな板張りの造りをしていた。マストの代わりに、仰々しいテナントの看板が並んでいた。これはちょっと想定外だった、あまりにも商業施設っぽい、とコンサルとして思う。

駐車場に出る。なぜか、両親と弟(血の繋がっていない義兄弟)と一緒にいる。喫煙所のベンチに座っている二人組に見覚えがあった。大手設計会社の設計士だ。黒っぽいスーツがよく似合う。

彼らに家族を紹介する。
「この施設、設計されたんでしたっけ」と、私は間の抜けたことを聞いている。
「違いますよ。○×設計事務所です。今日は視察に来たんです」と彼らは言った。


ゴミ捨てに行かなくては、と起きたら、すでに夜のうちにジロウがゴミ捨てを済ましていた。うちのアパートは、大家さんを含め夜のうちにゴミを出すおおようさが嬉しい。

溜めていた日記を書く。


久しぶりに小説も書く。少し進んで安堵する。


勢いづいて、ブックレビューも書く。


雨が小降りになってきたので、ジロウと呑みに出る。ひら乃に再チャレンジしたが、今度は臨時休業だった。またとのやまへ。レバー、ハツ、タン、シロ、越の誉。

釈迦へ。筋子の味噌漬けが絶品だった。スモークサーモンにのせて親子にしていただいた。