〔日記〕私は傷ついていたのだ
また無一文、銭がほしいな。
種田山頭火 其中日記 (二)
村のデパートで一杯また一杯、とうぜんとしてもどる。
去年の今日の日記。後でこの記事を読んだ人から「鬱でパソコンも触れないと言っていたのに新調するとは何事だ」と怒られた。「私」ではなくて、「パソコンを使えた過去の私」を欲していたのだな。
— 野原海明(小説家) (@mianohara) March 1, 2019
〔日記〕パソコンを新調する - 醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌 https://t.co/QFOvJAQQNP
睦月廿五日、曇りのち晴れ。
クライアントと事業者という関係性の仕事ではなく、互いに仲間として新しいことを創り上げる、それがこれからの仕事のあり方だと心に決める。
夢の中では、私はどこかの大きな寺院に修行に出されていた。修行と言っても、リハビリみたいなものだ。各々、毎朝その日にやろうと思う奉仕をカードみたいな帳簿に書き込んでおく。それを後で大僧正がこっそり読んでいるらしい。
私は、「今日は境内の散歩をしたい」と書いた。大僧正はそれを読んで、「それでは奉仕にならんのう」と、かっかっかっと笑った。
私は名簿に男の名前を書き込んでいる。古風な男の名前だ。若い武士の名前だと、世話役に教えられる。とりあえずこの寺で修行する間は、その名を使いなさい、と。
若くして無残な死に方をした武士、毎日繰り返しその名を書き込んでいると、自分が誰だったのかわからなくなる。その人は、私? 私の本当の名前は、なんだっけ?
夢の中では、三浦半島のその先に房総半島がまっすぐ連なっている。海を挟んで、一直線に。電車の路線は海で一度途切れるけれど、一直線だから路線名は変わらないのだ。
9時46分に目が覚める。どうも気が塞いでいる。米を炊いて、風呂で『目の真力』を読み終える。入浴時間は1時間7分43秒だった。
金城光夫『目の真力』を読み終わる。沈んでいく夕日は、その瞬間どこかの国の朝日になっている。夕日に向かって、今まさに新しい一日を向かえている知らない誰かへ「今日もまた、あなたが平和で豊かでありますように」と祈る。祈りは地球を周り、また朝日になって戻ってくる。 https://t.co/ZXarRDvjjQ pic.twitter.com/Vf9OwLoILN
— 野原海明(小説家) (@mianohara) March 1, 2019
一年前の日記を読み返して、嫌なことを思い出してさらに気が塞ぐ。ネガティブなことはできるだけ書くまいと考えていたけれど、それでは自分に嘘をついている気がして書き留めておいた。私は傷ついていたのだ。
蒲田へ向かう。各種取材。取材と称して、合間に日本酒一合半とジントニックを少しいただく。鎌倉に戻って閉店間際の釈迦へ。一ノ蔵、ひよこ豆と鱈、牛の入ったおこわ。帰宅して0時44分に寝る。