醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕無事にいった!

  • 夕立つや
  • 蝉のなきしきる
  • 山頭火

街へ買物にちよつと出たが汗でびつしよりになつた、石油十銭、醤油七銭、眼鏡四十五銭、……酒まではまはらない。
茄子胡瓜、胡瓜茄子ばかり食べてゐる。

種田山頭火 行乞記 大田


陰暦水無月五日、晴れ。

明け方、ジロウが帰ってくる。
「義母さん、どーした?」
と訊くと、
「無事にいった!」
と言う。

「へ?」
「無事に逝った!」

それは無事なのかどうなのか。
でも、心不全で大往生でスッと逝って、死に目にもちゃんと会えたのだから無事なのか。

ひと眠りして、スタバで朝食を食べてひと心地つけてから、ジロウの実家へ。
部屋を片付けて義母さんが帰ってくる準備をする。

和尚さんと一緒に「なむあみだぶつ」をたくさん誦える。

中座して大船へお使いに出る。
パソコンがなくても、iPhone とノートだけで文章が書けるように慣れておこうと思う。

帰宅してシャワーを浴びて、風を受けながらぶらぶらと夜歩きする。
閉店間際のあさつきで、しんみりと日本酒、地蛸、葉生姜をいただく。

コンビニで鮭とばと日本酒を買う。
『天智と天武』の続きを読む。

最終巻まで読み終えてしまって淋しい。