醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

〔日記〕新井英一ライブとビトライブ

f:id:mia-nohara:20170318142543j:plain

  • 春が来た
  • 旅の法衣を洗ふ
  • 山頭火

とりあえず大きな仕事が一息ついたので、ゆるゆると仕事をすることにする。合間にFacebookを開いたら、新井英一ライブの日だと気づいた。3月の半ばという修羅場。おそらく行けないだろうと諦めていたから、スケジュールには入れていなかったのだ。

目についたということは、行くことになっている、ということだろう。リハーサルの風景をアップしていた前田マダムに席が残っているか尋ねる。

Baan Hua Donでトムヤムクン。観光で来ているらしい親子連れが先客だった。ぐずっていた男児が、突然大人みたいに話しかけてくる。人の中身と実年齢って違うのだろうなと思う。スマートフォンから目をそらさない母親のほうが、彼よりもずっと子どものようだった。

スターバックス御成店で少しだけ仕事をして、鎌倉女子大の二階堂学舎へ向かう。休日で道が混んでいる。二階堂学舎はステージの背景が美しい。まるで山奥に来たかのよう。

とにもかくにも歩かう、歩かなければならない。
こゝですつかり洗濯した、法衣も身体も、或は心までも。

[種田山頭火 行乞記 (二) 一九三一(昭和六)年]

序盤から「ANAK(息子)」は辛かった。滂沱の涙を拭う。おれは性別的には娘だが、「息子」と呼び掛けられたほうがしっくりとくる。加藤登紀子も同じ唄を歌っていた。気難しく育った「息子」は、親元から遠く離れて、よくこの唄を歌いながら泣いた。
死んだ母親を思い出した。ああそうか、お彼岸か。彼岸に入るとそういうことがよくある。死んだ母からの符丁。彼岸と此岸が重なりやすくなる場所に地球が到達しているのだろう。

アルバムを一枚買った。「酒呑童子」という曲が入っている。酒飲みの鬼……なにやら近しいものを感じる。
遠回りして、桜道を抜けて駅へ。大船に出て、無印良品で靴下とローズマリーのオイル、Sucre en cubesで深紅のスカーチョを買う。

黄昏エレジーで電源を借りて仕事。ビトくんのライブ。
もう何年も聞いていて、ようやく歌詞がすんなり入ってくるようになった歌がある。小さな店が共鳴している。
日本酒3合と揚げ餃子、コロッケ、枝豆。鎌倉に移動して、ヒグラシ文庫をのぞく。なんとなくライブの余韻。三次会くらいの様相。常温一合とカニかまタルタルソース。バゲットをおまけしてもらった。