醒メテ猶ヲ彷徨フ海|野原海明のWeb文芸誌

野原海明(のはら みあ)のWeb文芸誌

白濁(十九)

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「たまにはもう一軒、一緒にいかがですか」

と高橋が言うので、敷居が高くて一人ではなかなか入れなかった焼き鳥屋を提案した。噂によると、混んでいる日には一見さんは「予約でいっぱいだから」と断られてしまうらしい。
小町通りの路地裏のその店は、今日は暇そうだった。強面のご主人が背中を丸めながら「らっしゃい」と一言だけ言った。



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