本を出すということ
- 曇り日の
- 重いもの
- 牽きなやむ
- 山頭火
一月十二日 曇、陰欝そのものといつたやうな天候だ。
種田山頭火 行乞記 三八九日記
外は雪、内は酒――憂欝を消すものは、いや、融かすものは何か、酒、入浴、談笑、散歩、等、等、私にあつては。
「小説家の卵の」
「小説家を目指している」
「小説家になるという夢を待つ」
という、紹介の枕詞。どれも違うぜ、勘弁してくれよ、と思う。どうやら世間的には、大手出版社から単著を出している者だけが小説家、らしい。
他人の評価は他人のものである。他人から「小説家」と呼ばれたいが為に小説を書いてるわけじゃない。
ああ、でも、そうだね。おれの書くものを欲する人に届くように、全国どの書店でも、紙の本として買える物を出すというのは、おれに課せれた責務なのかもしれない。